《ナイトメア》ドリームキャッスルはこちらです!
夜の園内は非常に静かだった。
俺と千尋の足音以外に動物の鳴き声や風も吹いておらず、本当に裏野ドリームランドは閉園しているのだという事実を突きつけられた。
俺や千尋も小さい頃には何度か裏野ドリームランドには遊びに来たことがあるが、夜の裏野ドリームランドは何とも言えない不気味さを醸し出していた。
園内は営業していた頃の名残なのか、ドリラビ君やウララビちゃんなどの等身大の人形や、休憩用のベンチ・テーブルなどはそのまま放置されていた。
だが不思議なことに、閉園したと言うのに園内にはゴミ一つ無く、水などは濁っているものの、施設等は毎日手入れをしているかのように綺麗だった。
まるで、園内へ毎日誰かが掃除をしに来ているようだった。
もしかしたら、自分達以外にも裏野ドリームランドの噂を聞きつけて、夜な夜な園内に来るような者がいて、そのために施設の関係者などがこまめに掃除をしに来ているのではないかと考えた。
だからこそ、あんな入口近くにあるドリラビ君の手に園内に入るための鍵があったんじゃないかと俺は納得した。
そういえば、このテーマパークにはドリームキャッスル以外にも噂になっているいくつかのアトラクションがあったはずだ。
たしか、出て来た者が別人の様になるミラーハウスや、謎の生き物の影が現れるというアクアツアー、誰も乗ってないのに勝手に廻るメリーゴーラウンド等があった気がする。
しかし、ドリームキャッスルに行く途中でそれらのアトラクションがある場所も見て回ったが、どれも入口には鍵が掛かっており中の様子を見ることは出来なかった。
まあ、俺の目的はドリームキャッスルにあるという噂の地下室へ行くことなので、仮にそれらの施設の中に入れたとしても恐らく入ることは無いだろう。
何はともあれ、俺たちは目的地であるドリームキャッスル前に到着するのだった。