第81話
俺達はサタンの城からホージョーさんを救出して、地上へと脱出した。
だけどホージョーさんと一緒に居た、ハーピー族の娘は行方不明ままだ。
俺は自分の不甲斐なさと 申し訳無さが募り、ミラーダさんに謝った。
すると
「何を言ってるのさ空渡殿、これは約束だよ。ただちょっと1人居なくなっただけなのさ。」
と、ミラーダさんは返すもその笑顔の奥には、何を抑えている感じがした。
「勇太よ!目前には転移盤のある遺跡がある!ここは遺跡を調査し、元の世界の時代に転移して、衛星学園都市周辺での消失事件の調査結果を、報告しなければ成らないぞ!」
と、ミラーダさんに何か言おうとした時に、突然ブレスレットのガイバーンが話して来た。
そんなブレスレットのガイバーンにガラナは
「あたしはゴメンだねぇ!あんた達に何の事情があるかは知らないさ。だけどハーピーの連中には少なくとも、あたし等を救って呉れた義理があるってもんだ!」
と、念波で怒っていた。
そんなやり取りをしていると、空からグリフォン族族長のアードラさんと、数人のグリフォン族の兵等が降りて来た。
アードラさんは俺達から暫く連絡がない状態を危惧して、周りの反対を押し切り、自ら来てくれたそうだ。
俺はアードラさんに一言謝り、獣魔の城での事と、今だ行方不明のハーピー族の娘の事を話した。
そして事情を知ったアードラさんは
「その件は我々が引き継ごうではないか!はははははは!だが消えたサタンの死体と共に、行方不明のキャリブレーンの件も気になる所だ。」
と、話した。
更にアードラさんは怒るガラナに対して、責任を持って行方不明のハーピー族の娘を、探し出すと誓っていた。
そのアードラさんの言葉にガラナは
「フン!仕方ないねぇ。」
と、含みを残すものの、納得していた感じだった。
そしてアードラさんは一通り話し終ると、捜索隊を再編成すると言い残し、一緒に来た数名のグリフォン族の兵と、救出したホージョーさんに付き添いのレーナさんと、ハーピー族のミラーダさんも共に、グッドスピードへと戻って行った。
俺達は帰って行くアードラさん達を見送り、遺跡の調査を開始した。
遺跡を知るリディアンさんを先頭に、遺跡に向かう俺達。
最近誰か通った様な形跡があるのに気付き、この遺跡を使う誰かが居るのか?と思うと同時に、一体誰が使って居るのかと、考えを巡らせているとガラナが
「気付いているかい勇太?」
と、念波で話し掛けて来た。
その時皆の様子を見ると、皆も気付いていた感じだった。
遺跡の側面に到着すると、リディアンさんが壁に手を当てて、扉が開いた。
そして中に入ると広いホールの様な場所で、中央の床には魔法陣の様な物が刻まれていた。
その時リディアンさんが前に向い合わせになり話し掛けて来た。
「転移する前に安全の為の魔法をかけましょう。」
と、俺の頭に何か文字を切っていた。
それが終ると俺とガイバーンは遺跡内を調べ始めた。
先ずは壁を調べてみると
「これは?」
その時リディアンさんが突然話し掛けて来て
「さぁ、準備は出来ましたよ。」
と、リディアンさんの方を見ると、魔法陣の中央に光る石が置かれていた。
俺とガイバーンはリディアンさんに、この遺跡と操作方を聞いてみたけれど、リディアンさん自体も詳しくは解らないと言っていた。
ガイバーンはこの遺跡を簡易分析を行うも、解らなかった。
解る事は誰かがこの遺跡を使って、俺と海樹君やガイバーンとシャトルに、ホージョーさんの邸宅にあったストライクランダーや軍曹、後はサタンに憑依していた地球の者、そして未だ発見去れない艦艇や衛星学園の生徒達が、このアルスナーダの何処かに存在するかも知れない事だ。
それか他にも何処かに、この遺跡の様な物が存在するかも知れない。
ここは一旦地球に戻って、軍に報告した方がいいか?
いや、アルスナーダと行き来する方法が未だ確立していない。
その時、天井の一部が崩れて来て、とっさに飛び避けたら、魔法陣に飛び込んでしまい、魔法陣が起動した。
「勇太ー!」
と、クローディアが必死に手を延ばし。
「下僕〜!」
と、焦るテディス。
「行くなダニ〜!」
と、飛び付こうとするニャーニャ。
「空渡よ!」
と、驚くハニッサさん。
「幸運を・・・。」
とリディアンさんに見送られ、俺は未来の地球へと転移した。
完




