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自己犠牲

 残り2日、僕はいつもとは違う平和の象徴となる。Bと同じ行動をとることになる。誰彼かまわず、暴力を振るい金を取り上げた。この行動によって、平和の象徴は悪の象徴へと変わっていった。今まで、弱い立場のやつがA、B、Cがいなくなった途端に強気になったとあって、クラスメイトたちは自分たちでも勝てると思えるだろう。僕の行動は、クラス全体の士気を高めると同時に、僕への憎悪を高めることになる。


 3人組に隠れていたが、強気のクラスメイトにカツアゲしたとき僕は怒られた。当然だ、それでいい。授業を妨害すれば、意識高い系が怒る。そのままでいい。もっとだ。もっと、僕への憎悪を高めろ。その憎悪はいずれ消え、クラスのまとまりは高まる。


 体育の時間、僕は授業をサボった。ラストスパートをかけるために。





 授業後、クラスメイトは驚愕する。外での授業で汗だくになっている中、涼しい顔している僕が一人席に着いている。それだけでも少し腹が立つのだが、それ以上に腹が立つことがある。着替えがない。当然だ。僕がやったのだから。さすがに、クラス全体が怒っている。そのために、僕はサボったのだし、わざわざ一つだけ僕の机の近くに置いておくというボロを出した。ちなみに、他は屋上に置いてある。


 「お前、どういうつもりだ」


 先ほどの影が薄い子が僕にキレた。こういう時、こういう子がいると僕の計画は順調に進む。ところで、この子は、普段どういうことをしていたのだろう。


 「何が?」


 ここで、相手をさらに怒らせるためにシラを切った。


 「てめぇ、ふざけてんじゃねーよ」


 何でこいつが、先陣切って怒っているのか僕には到底理解できない。笑えるな、まったく。その後も僕はシラを切り続け、クラスメイトも呆れきったところでさらに行動を起こす。


 「先生、字が小さくて見えないのでもう少し大きく書いてください」


 ただでさえ着替えが出来ず、イライラしている中、僕は授業内で質問やヤジを飛ばし続ける。字が汚いだの、教え方が悪いなどクラスメイトどころか教師をも怒らせていく。さぁ、俺にキレろ。


 「いい加減にしてよ」


 バンッと大きな音を立てて、一人の少女が立ち上がった。そう、委員長である。文句を言いながら近づいてくる委員長に対して、僕も立ち上がって応戦する。


 「あなた、迷惑なのよ。少しは静かに出来ないの。それに、早く着替え出して。おかげで、全身べちゃべちゃ。私もイライラしているのよ」


 「あのくそ教師が悪いんだろうが。委員長もそう思ってるんじゃないか。あと、着替えは知らない」


 僕も言い返す。これでボロを出してはいけない。何を隠そう。これも当然、僕の計画なのだ。慎重に言葉を選び、委員長いや、クラス全体を怒らせる。


 「そもそも、委員長だからって調子乗るなよ」


 「うるさい、委員長だからクラス代表として言ってるのよ」


 「腹立つな。土下座しろよ。しないなら、殴る」


 しまった。僕が相当やばいやつみたいになった。いや、相当やばいのか。


 「意味が分からないわ。殴って気が済むなら殴りなさい」


 「カウントダウン入りまーす」


 クラスメイト全員が悪意を持つであろうカウントダウンがはじまる。


 「3、2、1」


 僕も委員長もクラスメイトも覚悟を決めた。そして、これで僕の仕事も終わりだ。


 ゴンッと音がクラス全体い響く。初めて、人を殴った。


 「てめぇ、委員長に何してやがんだ」


 影薄い子がまず怒った。それを筆頭にクラス全体が僕に対して、怒りをぶちまけた。僕は、その猛追に反撃をする。当然、演技だが意外と心が痛む。教師は止めに入る。2、3人教師の援軍も来た。当然、僕は授業を途中退場。出される時、委員長はうつむいていた。委員長には迷惑をかけた。2週間だったけど、ありがとう。


 この騒動は学校全体に知れ渡った。僕は、当然反省文を課され、停学になった。しかし、僕は自ら退学を希望した。さすがに、それは逃げることになると止められたが、僕はやることすべて終わったし、まず、僕は来週からこの世にいない。だから、退学を希望し退学をした。


 翌日、委員長が家を訪ねてきた。


 「クラスのために、文字通り自己犠牲をしてくれてありがとう」


 そう告げると、僕の返事は聞かず帰って行った。


 残りの2日、何もせずただただ日常を過ごした。


 






 「おかえり。生き返った意味はあった?」


 僕は、再び死んだ。2回目は少し悲しいし悔しい。そうか、この2週間色々あって色んな人を傷つけたけどやりきれたからな。しかし、もう少しいいやり方はなかったのだろうか。誰も傷つけずに出来なかったものだろうか。そこが、悔しい。そして、協力してくれた委員長や叱ってくれた教師、少しでも係わってくれた人たちと離れるのが悲しい。


 「おう。いい体験させてもらった。ありがとう」


 「それはよかった。ところで、地獄と無、どっちに行きたい?」


 「無かな。色々考えたいから」


 僕は、即答だった。


 「50年あるけど大丈夫?」


 「覚悟は出来てるよ」


 「普通は地獄選ぶんだけど。まぁ、君がそういうなら」


 「じゃあ、行ってくるよ」


 「行ってらっしゃい」

 

 そして、僕は人生の幕を閉じた。

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