もう少し
残り9日、ここで予想外の行動をすることになる。計画は狂ったが、新たな計画を立てることが出来少しラッキーなのかもしれない。今までの計画は、A、B,Cを学校から追い出して、僕も消えるということであった。しかし、これでは生ぬるいということが分かった。だから、新たな計画を。
「Bくん、今日はあの子にカツアゲをするんだ。状況によっては手をあげてもいい」
ターゲットは、委員長の親友とも呼べるような相手(女子)だ。委員長が平和の象徴の重要性に気づくには1番適任の相手であろう。もちろん、動画の効果によりBは僕の操り人形であった。委員長がトイレかどこかへ出て行った際にBにやらせた。
「なぁなぁ、金くれよ」
「え、嫌だよ」
そう、この気持ちをみんなにも味合わせてあげたいんだ。
「早く渡せよ。カウントダウン入りまーす」
今日は異様にテンポが速い。そのテンポの速さで、相手に悩む暇を与えない。こいつ、頭悪いが本当は出来るやつなのかもしれない。
「3」
えっ、えっ、と戸惑う相手に対して、静かにカウントダウンははじまる。委員長を殴ったBのカウントダウンである。その圧力は相当なものであるのだろう。
「2」
カウントダウンは止まらない。相手は涙目になっている。
「1」
「分かった。払うわ」
やはり、痛みなくして解決する手段を選んだか。この時間は、これで終わった。
しかし、これで終わらせるわけもない。Bには、何度もカツアゲをさせた。委員長に言われたのだろうか。相手は財布を2つ持っていた。しかし、3回目。僕の携帯電話に再び、新たなBへの脅迫動画が増えた。間違いなく、Bは僕がいなくなった後、このクラスにいられなくなるだろう。
土日を挟んでの月曜日、あの子はまた学校へ来た。今日も朝からBには攻撃してもらおう。相手は、財布を持ってきていないらしい。しかし、関係ない。問答無用で手を上げさせた。すべての休み時間で、これを行わせた。委員長の前でも、行った。止めに入る委員長を無視して、行った。それでも、遂行するBを少し尊敬してしまう。
午後、相手は早退してしまう。さすがに、Bは罪悪感があるようだ。しかし、動画で脅すことによってBは学校へ来る。少なくとも今週は、いてもらなければ困るのだ。土日を含めるならばあと5日しか、行動できない。
夕方、僕は委員長を呼び出した。たぶん、相手は明日から学校に来ない。これで、平和の象徴について理解出来たのではなかろうか。
「僕の存在意義を理解出来たんじゃない?」
「えぇ、よく分かったわ。あなたは私の親友を傷つけた。許せないわ。あなたをこの学校に来させないようにするわ」
「よく言うよ。僕がやられてもそんなこと言わなかったくせに。それに、邪魔者は消すという発想はいくらなんでも委員長がする発想じゃないよね」
「その通りよ。だから、私もいなくなるのよ」
もしかしたら、委員長とぼくの計画は一致するのかもしれない。僕の計画は、僕がいなくなることで成立するものである。僕を消そうとする委員長の計画は、結果として僕と一緒なのだ。
「委員長、突然だけど僕と協力してよ」
「え?何を言っているの」
「実は、僕は今週でいなくなっちゃうんだ。平和の象徴を実感してもらったいまなら、僕がいなくなった後のことが分かったはずだ。だから、僕に協力してくれ」
素直に僕は頭を下げてお願いした。実を言うと、僕自身もバカなので完全に土日の存在を忘れていたために焦っていた。日にちがない。
「色々と質問させてくれないかな。その返答次第で協力させてもらうわ」
僕は、すべての質問に対して正直に答えた。さすがに、生き返ったことを話したときは疑っていたが僕の真剣な表情を見たせいか、すぐに信じてくれた。僕の計画も。
「分かった、協力させてもらうわ」
委員長という協力者を得た僕は、残り3日全力をかけてクラスの平和を作らなければいけない。
翌日、あの子は学校へ来なかった。そして、僕はBとともにAに対してカツアゲだけでなく嫌がらせという嫌がらせをし続けた。とはいっても、これは僕が今まで受けたことばかりであった。多分、Aは相当屈辱であったと思う。反省することもあるだろうが、それよりも怒りや悔しさが募るであろう。やり返そうとすれば、クラスメイトからの信頼を失うとでも思ったのだろうか。すでに、ないというのに。
「Aくん、おはよう」
Aの頭をたたきながら、BはAに挨拶をした。続けて、僕も同じような挨拶をする。挨拶もほどほどに、お金を要求する。Bはいつもと同じく、カウントダウンを行う。カウントダウンし終えると、当然にAを殴る。殴られて、立ち去るAに対して今度は来客用のスリッパを履くAをいじる。こうして、Aに対して今までの仕返しと言わんばかりの行動をとり続けたせいであろう。Aは早退していった。僕の計画はうまくいった。
Aを排除することに、成功しBと僕に対してクラス全体の憎悪が集中する。そして、僕とBが消えるために一つ委員長に頼んだことがあった。
「B、ホームルーム終わったら職員室に来い」
帰りのホームルームで担任はそう告げた。委員長に頼んだこと。それは、Bの行動を問題視させること。委員長に昨日、あの子の家に行ってもらいあの子の両親にすべてを説明してもらったのだ。当然、その状況をよしとしてくれるはずもなく、Bは無事に停学になったのである。日本の学校の恐ろしいところである。被害者が救われず、加害者が救われるというのは。停学で済むのであろうか。
そして、僕は平和の象徴としてもう一仕事することになる。




