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薔薇ニ戀々  作者: 藍花 姫乃
禁髄恋
9/26

話吐キ -ハヅキ-

翌日、いつもより早く家を出ようとした。

「食事は?」

と母達が問う。

ロゼはビクリとしながらも、

「ごめんなさい。失敗しちゃったの」

と言い訳る。

「そう……」

「行ってきます」

微笑んで門を出る。


ごめんなさい。

食事は用意出来ない。

そう心の中で謝罪した。


ふと目に入った8輪のオレンジのドクターファウスト。

昨日は蕾であったのに、見事に咲き誇るそれを見て、ロゼは皮肉と感じ、少し目を細めた。


「あれ!?」

待ち合わせにルクスがいた。

「おはよ。早いね」

そう言って微笑む。

まだ目の周りは赤い。

「ルクスこそ。どうしたの?」

「いや、昨日待たせちゃったしさ、今日は俺が待とうかなって」

その発言に、ロゼは頬を染める。


他愛のない話をしている中、ロゼは気付いた。

「ルクス……何だか綺麗になった?」

「えっ……それは…………。ロゼはいつも綺麗だしさ、隣にいても大丈夫なようにって……思ってさ。………男が変かな?」

「…………………」

ロゼは答えない。

いや、答えられない。

今口を開けば、変な声が出てしまいそうになるからだ。

「……? ろぉーぜぇー」

ロゼの顔をのぞき込むルクス。

耐えるロゼ。

「…………っはぁ。大丈夫」

咳払いを1つし、落ち着きを取り戻す。

私よりもルクスの方が向いていたのではないかとロゼは思った。

しかし辞めると誓い、それはもう関係のない話だが。


「もう帰ろっか。最近、行方不明者多いし」

「そうね。でも大丈夫よ」

私が犯人だから。

だけど、もう被害者は出ないわ。

ロゼは頭の中で言葉を続ける。

「? まぁ、気を付けるに越したことは無いから。それじゃあね」

「うん。また明日!」

本当はまだ一緒にいたかったが、明日を待ち遠しく思うのも良い。

少し帰りづらいが、帰路につく。



「………………っ!」

ロゼは焦り、動揺し、絶望した。




「どうして…………っ!」




薔薇の香りが、無くなっていたのだ。

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