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薔薇ニ戀々  作者: 藍花 姫乃
睡燈恋
24/26

英遺憑キ -ハナノコリヅキ-

-ルクス ごめんね-


ロゼの口が僅かにそう動いた。

ロゼはまるで、枯れた白薔薇の様な姿だ。

ルクスはまた涙する。


「俺は……ただ君と、一緒に痛かったんだ」

さっきまで出なかった声が、不思議と今は出た。

すると、ロゼはまた一段と枯れた。

「ロゼッ! なんで……」

今まで発せられなかったロゼの声が、今、発せられた。

「私ね、ずっとこうなりたかったの。今まで美しさにこだわってたけど、今の方が、綺麗じゃない? 真っ白で、お嫁さんみたい」

「どんなでも、ロゼはいつも綺麗だ。だけど、このままだと…………」

「いいの。今話せてるのは、最期ってことかもね。今出てる声が、私の声じゃないみたいな感じがするの。……ねぇ。枯れた白い薔薇の花言葉、知ってる?」

ルクスは首を横に振る。

「『純潔を失った為に死を望む』あの日、貴方に奪われちゃったものね」

力ないままに、微笑んで言うロゼ。

ルクスは俯いた。

「もう一つあるの」


ロゼは、自分からルクスに口付けた。

「『生涯を誓う』ありがとう。私の為に頑張ってくれて。私が殺してしまった、あの子達を思い出してくれて。……私を、愛してくれて。好きよ。ルクス」

「ごめん。ロゼ。俺も。君を愛してる。

俺を、愛してくれてありがとう」


二人は灰になりながら、涙ながら、身を寄せあった。

そして想った。



-今度は普通の人間として生まれ、出会って、また恋をしよう-


-どうか、自分達が殺してしまった犠牲者が、今度は人生を謳歌できますように-


-最期まで見守ってくれた友人達が、生まれ変わりますように-


彼等の花屑が、炎に乗せられ天へと昇った。

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