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薔薇ニ戀々  作者: 藍花 姫乃
睡燈恋
23/26

紐侶 -チュウリョ-

気がつくと、オレンジの蕾が全て咲き誇っていた。

オレンジのドクターファウスト。

自分達と外の薔薇と相反したその美しさに、ルクスは苛立ち、潰そうとする。

しかし、指が触れた瞬間、記憶が蘇る。

長い間忘れてしまっていた記憶。

短い間に育んだ友情。

最初で最後の、友人達。


ルクスは涙した。

人を失う悲しみを知る自分が、人を殺して続けた事。

愚かな事を続けていたという事。



壊れ物となったルクスは、ぼうっと窓の外を眺める。

夜だ。

白く眩しく輝く三日月。

いつか見た、あの月と同じ。


門の近くで、赤い小さな光が見えた。

松明を持った人間だ。

もう襲う薔薇もいない。

光に照らされたのを見ると、一人の男だった。

門を開き、朽ちた薔薇、木々に火をつけていく。

あっという間に燃え、次々と燃え移っていく。

そして、屋敷にも。


ルクスは、逃げようとしない。

ロゼのいる所へ向かった。


十字架の傍らで横たわって眠るロゼの隣

に、ルクスも横たわる。


「ロ…………ゼ………………」

虚ろな目で、掠れた声で呟く。



それに呼応するかのように、枯れたはずのロゼの口元が、少し緩んだ。

「ロ……ゼッ…………」


いつの間にか侵入してきた炎が、部屋を、二人を包む。

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