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死枯 -シカ-
その日から、ルクスは食事を運ばなくなった。
あれから、何日、何ヶ月過ぎたかも分からない程。
ロゼだけでなく外の薔薇も、屋敷に近付く者を食して凌いでいたが、もう誰も寄り付かなくなった為、衰弱しきり、散り始めた。
また時が流れる。
もう外の薔薇は殆ど枯れ、朽ちてしまった。
シャンテロゼミサトも、枯れ始めた。
ロゼ自身も。
髪が茶色くなり始め、服も以前の様に白くはなくなった。
ルクスはロゼの頬に両手を添え、夢見るように語りかける。
「ロゼ……。何で? 何がいけなかったの……? 俺はただ……ただ、また声を聴きたかった、笑顔が見たかっただけなのに…………」
ルクスはロゼに優しくキスをする。
「ロゼ!!」
キスと同時に、ロゼを縛る荊が朽ちた。
地面に倒れてしまわないよう、ルクスがロゼを支える。
けれど、ロゼは動かない。
壊れてしまった玩具の様に。
シャンテロゼミサトは、ロゼは枯れた。
外の薔薇も全て朽ちた。
ルクス自身も、それをショックとし、髪が白くなる。
もう、声も出ない。