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望駆 -モウカ-
「ねぇ。ここで何してるの?」
話し掛けられ、美しい少女は声のする方を向く。
そこには、眼帯をした美しい少年。
「あ……えっと、待ち合わせを」
「そうなんだ。あ。安心して。ナンパじゃないから。てことは、相手は恋人かな?」
言い当てられ、少女は頬を染める。
「僕も恋人を待ってるんだよね。君はさ、その人の事、好き?」
少女は俯き、更に頬を染め、こくりと頷いた。
「ず……っと、一緒にいたいと、思わない?」
「えっ」
「もう離れなくてもいいようにさ」
「あ……」
「他の人のものにならないように、自分だけのものにってさ」
「………………」
少女の目は段々と虚ろと化した。
毒が、効いてきた。
「これあげる」
渡したのはナイフの様に鋭い茨。
「ごめん! 待ったよね」
「ううん……。今来たところ。ねぇ。今日、逝きたいトコロがあるの」
「え? 行きたいところ? いいよ」
「うん。……逝きたいトコロ」
「ふふっ あはははっ 思ったより簡単だったなぁ。ねぇ。ロゼ」