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朱香 -シュカ-
「え…………」
ロゼは目を見開き、ルクスを振り返る。
それは、先程ポケットに忍ばせていた、装飾の美しい鋏。
ロゼが前へ倒れないよう、右手に鋏を持ちながら、左腕で抱き、支えた。
「ルクス……何で…………?」
「何で……? お前の方が分かってるだろ。ロゼを何処へやった?」
「なんのこ
「恍けるなよ。痛い思いは、したくないだろ?」
ロゼは黙って、屋敷のドアを指さした。
「ふふっ。ありがと」
優しい声色で言い、ルクスは支えていた手で、ロゼの口を抑える。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
「…………外見だけで、俺を騙せると思うな」
笑んで魅せる。
ルクスはロゼの首を掻き切り、己を真っ赤に染めた。
それこそ、薔薇の様に赤く。紅く。
その青い目が、際立って魅せた。