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縛讐 -バクシュウ-
「ロゼ……遅いな」
噴水に腰掛け、ルクスは待っていた。
昨日の夜、ロゼと別れた後に家に戻ると、もう相手は居なかった。
居たのは奥のベッドで眠る母親のみ。
何故この人がこんなに好かれるのかが分からない。
ルクスは疑問に思った。
「ルクス! ごめん。お待たせ!」
思い巡らせていると、ロゼがやって来た。
「……ううん。大丈夫」
「あのね。ルクス。今日、私の家に来ない? お母様が挨拶をしたいって」
「うん。いいよ。でも、それならちょっと準備したいから……いい?」
「……いいよ!」
2人はルクスの家に向かい、「いるから」とルクスだけ家の中に入った。
そしてある物をポケットに入れ、「お待たせ」と、ロゼの元へと戻った。
ロゼの家は、町外れの山の中。
赤黒い煉瓦で作られた、妖しくも彩しい洋館。
「いつもこんな遠くから来てたんだね」
「ふふっ。そうなの。でも、貴方に会う為なら、楽しいわ」
「ははっ。ありがと」
そう言って門を開け、先にロゼが入る。
それに続く様にルクスも入った。
そして、
ルクスはロゼの心臓目掛けて、背中を突き刺した。