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禁髄恋
薔薇は少女として生まれた。
朽ち、価値の無くなった薔薇から。
少女は美しかった。
パイライトのように輝く髪。
アンクルウォルターのような目。
臙脂色を基調とした服。
陶器のように白い肌。
蝶は、羽は美しいが、その本体はただの虫。
少女も同じ。
衣を剥げば醜い。
心臓のように見せかけた花弁の塊。
荊の肋骨。
それらが露になっており、とても美しいとは言えないだろう。
愛される為、少女は蜂のように仕える蝶になる。
母達から偽の愛を与えられていた少女は、本物の愛を知る。
そして、裏切りの蝶は、ただの無価値な花の人形になった。