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薔薇ニ戀々  作者: 藍花 姫乃
禁髄恋
13/26

ー除華吊 ジョゲツ-

家に帰るとすぐに、もう朽ちてしまった薔薇を貪る。

それでも髪は変わらない。


「食事は?」

と母達が言う。

「ごめんなさい。お母さん。私、もうできない」

地面に膝をつき、俯きながら言う。


「そう! じゃあ私が代わるわ」

声がした方を向くと、そこには自分がいた。

「え……」

困惑しているロゼを他所に、もう1人の自分は笑みながら続ける。

「はじめまして。貴方の妹よ。……辛そうね。こっちへ来て。楽になるわ」

そう言ってロゼの手を引き、今まで入った事の無い、屋敷の中へと導いた。


奥へ奥へと進んでいく。

「ねぇ。どこ行くつもり?」

「もうすぐ着くよ」

そう言って少し重そうな両開きのドアを開ける。

中は部屋か庭かよく分からない。

地面は土で、芝生と花が生えている。

四方から入れて、ドーム型の天井の造りになっている円形の部屋。

しかし、建物と同じ材質の壁があり、窓はない。

どうやって成長しているのか少しロゼは疑問に思う。


部屋の中央に、十字架の石碑があった。

その場所に来た瞬間、体に異変が起こった。


「かはっ…………」

何かが体の中を弄るかのような感覚。

思わず石碑にもたれかかった。

足元の地面から荊が伸び、ロゼを絡めとる。

一瞬の間に、ロゼは十字架に拘束されてしまった。


自分そっくりの、「妹」と名乗る薔薇は楽しげに言う。

「馬鹿ね。言われた通りにしていれば、お母様に愛されたのに。馬鹿な子。可哀想な子。…………裏切り者」

最後の言葉は酷く冷たく、幾重にも重なって聞こえた。


そして、妹は立ち去ろうとする。

「…………待って! ここに縛ってどうするつもり!?」

振り返り、冷たい目で言う。

「あんたはもう用済みなのよ。でもただ枯らせるのは勿体ないから、お母様の食事にしようと思って。あんたの体、人間に近くなったみたいだし? ゆっ……くり味わって貰ったらいいわ。あはははははははははははっ!!」

そう言って耳障りな高笑いをする。

ロゼはもう絶望しかなかった。

「あぁ。そうだ。安心して? あんたの大好きなルクスも、ここに連れて来てあげるから」

「…………っ!」

「じゃーね」



ドアの閉まる音が、重く、響き渡った。

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