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蒼華十 -ソウゲツ-
シーンが前回から少し続いています。
ルクスがそっとロゼを解放する。
口と口に、月に照らされた橋が一瞬出来上がる。
その事に、お互いが頬を赤らめる。
「ね? 俺は綺麗じゃない。あの人の息子だからさ、こういう知識もあるよ?」
余裕そうに振る舞うが、ロゼは見透かした。
「でも、初めてだったんでしょ?」
「…………ばれた?」
ふっと笑みがこぼれ、そのまま2人は笑いあった。
2人は隣同士で座り、話し始める。
「でも、どうしてここにいたの?」
「…………今、家に来てるんだよ」
「あ…………」
その一言でロゼは察する事が出来た。
「ここに来ると落ち着くんだ」
「そう……」
私が普通の家の子だったら、人間だったら、家に泊めてあげることも出来たのに。
と、ロゼは改めて絶望する。
ルクスは月を見上げている。
それがとても酷く美しく感じ、ロゼは見とれた。
突如風が吹く。
ロゼは目を見開いた。
視界に入る髪。
白い髪。
髪が白い。
ロゼの髪が、白くなっていた。
「ごめん。私、帰るね」
「? 分かった。気を付けてね」
微笑んで言う彼に心配かけないようにと、震えた声でありながらも、明るく言ってみせた。