感奈衝キ -カンナヅキ-
今回の話は苦手な方がいらっしゃるかもしれません。
目の前は黒 黒 黒
けれど、心地いい。
光なんて無いんだ。
元々愛されてなんかなかった。
そう考え、ロゼはその赤い目に黒を映し、虚ろになった目をうっすらと開ける。
視界の黒に、白い光が入る。
三日月の形の光。
…………三日月?
三日月なんて見えるはずが無いのに。
けど、息はできない。
鼻が開かない。閉じられる口。
胸に感じるリズミカルな圧迫。
目を開き切ると、顔にかかる黒い髪。
段々と思考を巡らせるロゼ。
………………!
今の状況を理解した。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
「ぅわあ! ロゼ!! 大丈夫!?」
ロゼは顔を真っ赤にする。
「だい……じょうぶ」
「で……どうしたの?」
そう問いかけるルクスの顔は真剣そのもの。
いや、少し怒っている。
「事情があるのは分かる。けど、死のうとしたのは納得がいかない」
「そう…………ね」
ほら。そういう所だ。
そういう所が、眩しい。
月の光に照らされ、輝く少し長い黒髪と青い目。
ルクスに見とれた。
「綺麗…………」
思わず呟いた。
「…………俺は綺麗なんかじゃないよ。ロゼの方がずっと純粋で、綺麗だ」
俯き、低い声で呟く。
そして、ルクスはロゼを優しく抱きしめた。
「ル……クス…………!?」
抱き締められ、顔をより一層赤くし、驚く。
「…………そんな反応するって事は、期待……してもいいの?」
耳元で低い声で囁いた。
「っ……」
甘く、少し劣情の篭った、吐息混じりの声に、身を震う。
ルクスは静かに、ロゼに口付けた。
ロゼは今まで体験したことのない行為に、目を見開き、頭が白くなる。
ルクスの服を掴み、目をきゅっと瞑り、耐える。
ルクスは、ロゼの後頭部に、腰に手を当てて支え、少し開いた口に、舌を滑り込ませた。
「…………!!」
2人から発せられる吐息と水音は、川のせせらぎにかき消された。