勇者として召喚されたようです
お久しぶり&初めまして。
前作では、乙女系ゲームを主体にした話を書くとか言いながら、全く違う話です。
何となく、今度も流行りに乗って、勇者召喚と転生ものをくっつけた話を書きたいと思っています。
拙い文章ですが、お付き合いいただけたら、幸いです
。
ついでに感想などをいただけたら、なお嬉しいです。
R15と残酷な描写ありは、保険です。
昔から俺は、気味が悪がられるほどに、事件に巻き込まれた。
物心つく前にはバス事故に巻き込まれ、幼稚園の時には、熊と遭遇し、小学校の時には、少年少女連れ去り事件に巻き込まれ、中学校の時には、人質籠城事件に巻き込まれた。
だが、命を脅かされる事件の中で、俺は、怪我一つなく生還(?)していた。そんな事件体質な俺を見て、俺にかかわり合いたくないと言う人が多かった。
そんな中、時に巻き込まれることもあった家族や、幼馴染み一家は、普通に接してくれていた。
その日、俺はいつものように、幼馴染みの相楽ミノリと一緒に帰っていた。
余談だが、この幼馴染みは、友人によると、かわいい部類に入るらしい。
中学までは、よく告白をされていたが、今まで誰とも付き合った形跡がなかったので、全て断っていたと推測している。
告白は、高校に入ってからも続いていたようだったが、いつの間にかなくなり、代わりに俺とお似合いカップルと言うことになっていたみたいだ。何故そんな噂が流れたのかは、今もって、謎である。
ミノリとは、あくまで幼馴染みであり、付き合っているというわけではない。
これだけは、断言する。ミノリは、俺の理想とするの女性ではないのだ。だからといって、どういう女性が好みなのかと聞かれると困るが、ミノリと付き合ってると言われても困るだけである。
聞いたことはないが、ミノリも同じ思いだと思いたい。というよりか、そう思っていてほしいと願っている。
「ねえねえ、マコト、私『モノトーンロード〜魔王への道〜』っていうゲーム、何故か手に入れたんだけど、一緒にやってみない?」
その日、ミノリが珍しく、ゲームを一緒にやろうと言ってきた。
ミノリにしては珍しい冒険ファンタジー物のゲーム名を出してきた。
とは言っても、ゲームの内容は、不明だ。タイトルから、推測しているだけである。
そして、このゲームは一部マニアの間で噂になった幻のゲームだった。
出版元不明、内容不明、さらに言えば、どこで売っているかさえも不明という逸品なのだ。
歴代の購入者はいつの間にかこのゲームを手に入れていた、と当時の購入者の友人たちは、彼がそう言っていたと証言している。そして、その購入者たちは、自分がこの幻のゲームクリアした後にこのゲームを貸してやる、と示唆していたと言っていたらしい。
しかしながら、それが実現することはかった。何故なら、購入者が次々と消えていったからだ、ゲームと一緒に。ホラーである。
一時的に、騒がれた事件だったが、結局はどの事件も現実逃避からくる家出、または失踪と言うところで落ち着いてしまうようだった。
そして、今までに15歳以上の10代が、10人以上、20代が5人以上、30代以上が2~3人がいなくなっていると言われている。
なんて言うことが、ネット上に書かれていたな、と記憶を呼び起こす。
その上、このゲームは形は変わっているのだろうが、俺たちが産まれた頃から存在しており、そして、その時から人が消えていたという噂があったとも言う。
そのため、別名『呪いのゲーム』とも呼ばれている、らしい。
まあ、今時のネット上の噂なので、どこまで本当かどうかは、分からないが……。
そして、内容に関して言えば、タイトルに『魔王』と付いている事からして、先ほども言った通り、冒険ファンタジー系だろうと辛うじて判断できる程度である。
というか、
「よく、そんな得体の知れないもの手に入れたな?」
俺は、ミノリに言った。
俺が、そう思うのも仕方ないだろう。
「だよねぇ。……うん、私もそう思う。でも、そのゲーム知らない間に部屋に有ったっていう代物なんだよね。だから、『何故か』なんだけど。あ、もちろん盗んだものじゃないと思うよ、多分。一応レシートも有ったし、財布の中身も寂しくなってたんだよ」
ミノリが、ため息をつきながら言う。
「ほんっと、泣きたいんだけど……」
それにしても「もちろん」で、「多分」か。まあ、いいけどさ。
それに、知らない内にお金出して手に入れてたとか、怪しい以前に、買いたくもないゲームを買ったとなれば、泣きたくもなるよな。
「多分、ね。だけどよく、そんな得体の知れないもの、俺と一緒にやろう、なんて言うよな」
とか言いながら、
(まあ、得体が知れないけど、興味があるからプレイしたい、でも、一人でプレイするのは怖いから、俺と一緒にやりたいって所か。それに、お金を出したなら、一度はプレイしてみたい、って所か?)
と、ミノリの思いを推測してみる。
「う〜ん、そうなんだけどね。まあ、お金だして買っちゃってるしね。それに、このゲーム、ネット上で話題のゲームの一つと言うじゃない。やっぱり、一度は、プレイしてみたいって、思うじゃない。って言っても、こういうファンタジーものって、私あんまり好きじゃないんだけどね」
そう、彼女のゲームの趣向は、いわゆる乙女ゲームだ。それも癖のあるヤンデレ系と来ている。
「で、一人でプレイするのは怖いから、俺を巻き込もうかと?」
俺が続けて言う。
ミノリは、苦虫を噛んだような表情をしているということは、当たり、と言うことだ。
「まあ、そうだな。俺も『呪いのゲーム』なんて言われると、興味がでるけどな」
これ以上焦らしても仕方がないので、素直に興味があるのを認める。
それに元々、俺のゲームの趣向は、どちらかと言うと、冒険ファンタジー系だ。
「でしょ? っていうか今、私の反応、見て楽しんでいただけでしょう?」
ミノリは、上目使いでキッと睨み付けた。
ちょっと拗ねているような、本気で睨み付けていないような、こういう仕草がかわいいと、俺の友人たちには、もっぱら評判だ。とはいっても、俺は、そんな仕草、なんとも感じないのだが。
よく『羨ましい』とか、『呪われろ』なんてことを言われるが、聞き流すことにしている。場違いな嫉妬は、無視するに限る。
というか、ミノリを好きだという感情がない俺にとっては、どうでもいい話なのである。
まあ、これも余談の範疇の話ではあるが。
と、いうわけで、
俺たちは、ミノリの家で、早速ゲームを始めた。
ゲーム内容は、ごくごく普通のファンタジー系RPGだった。ゲーム中に出てくる魔物を倒していって、魔王城に向かうという、本当に一般的なストーリーだった。
「ねえ。なんで、そこで魔獣を仲間に入れているのよ」
「そっちだって、さっき魔族を仲間に入れていただろ?」
「え、いいじゃない? ベルちゃん、可愛いし、私一押しなんだよね」
「まあ、いいけどよ。いつの間に、ベルちゃんって名前を付けた?」
「え? 今さっき。……、それよりも、また、魔獣を仲間に入れてる」
「いいだろ、別に。モフモフ動物は、俺の心の癒しだよ。それよりも、ミノリ、また魔族仲間にしようとしているだろ?」
「そうよ、こうすれば……」
そう、一般的なストーリーだった。ストーリーだけを見れば、ではあるが。二人が、何か、してはいけないものを仲間にしているのを考えなければ、ではあるが……。
そして、俺たちは苦労して、いや、楽しく魔王城まで、たどり着いた。
それなのに何故か、魔王城の扉の前へ着いたところでプレイが終わった、みたいだった。終わったと思ったのは、単純なことで、ディスプレイ上が、真っ暗になったからだった。
終わったとしか判断のしようがない。ただ、終わるとき特有の『The End』とかいう言葉は出てこなかった。
肝心の魔王城の中に入って、魔王を倒す、という一番重要な場面は、ないようだ。
……いや、その前に、魔獣や魔族を味方にし、一緒に冒険を楽しんでいる二人が魔王城に何の用事があるのか、謎だが。
そして、ゲームの所要時間は、約2時間。短い、短すぎる。
噂の逸品とするには、何とも味気ないものだった。
「ねぇ、ここで終わり?」
ミノリは、不満そうに言う。
「ああ、そうみたいだな」
俺は、応える。それ以外に、何を言えと?
「ねえ、これが噂の逸品と言われるものなの?」
ミノリが、聞く。
「みたいだな、信じられないけど」
俺は、気のない返事をする。
「……そうよね。……でも、本当にこれで終わりなのかしら?」
信じられないのは、わかるけど、俺に言われても困る。
どこかで否定してほしいのだろうが、俺は、否定できる術がない。
「というか、俺に言われても困る」
そう、俺に言われても困る。俺だって、呆れている。まさか、こんな結末だったとは。
「そうよね。マコトだって、不満なのは、分かっている。……魔王城には、魔族がイッパイいるはずだったのよ。私の夢のハーレムが……、え?」
本音がダダ漏れの、ミノリの反応が、疑問系とともに消えたことに、俺は不思議に思い、彼女を見た。
そして、彼女の視線の先−−ディスプレイへと視線を向ける。
『続きを実行しますか? Yes or No?』
という表示がさっきまで真っ暗だった、ディスプレイ上に出ていた。
俺は、それを見た瞬間、ゆっくりと意識が薄れていくのを感じていた。
そして、薄れていく意識の中で、何かが自分の中に入ってきていると自覚していた。
そして、意識が途切れる瞬間、どこか懐かしい香りを感じていた−−……。
……何だろう、この懐かしく、そして悲しい香り……。
俺は、そこまで考えて意識を手放した。
「おはよう?」
その日、俺はここがどこなのかも分からないまま、階下に降り、家族に挨拶をした。
いや、家族に挨拶した時点で、自分の家だということは、分かっていますけどね? 言ってみただけだが。
昨日? だと思うが、ミノリの家で意識を失ったと思ったら、自分家にいたのだ。ちょっと、場所感覚と、時間感覚を失っていても、おかしくないだろう。
「おはよう」
疑問系の俺に、家族はきちんと答えてくれた。
『おはよう』で、合っているのか。まあ、日の光の入り具合から分かりきっていたことだが。
俺は、リビングに入る。
父、母、兄、妹。全員揃っている。いつもの光景だ。
俺は、いつもの席についた。
テレビでは、いつものようにいい年した息子が、年老いた親を刺して逃げてるとか、高校生が、行方不明になったとか、物騒な事件が色々と報道されている。
その流れるニュースを横目で確認しておく。
日にちは、『今日』で間違いないな。
父が読んでいる新聞で、こっそりと日付を確認する。
よし、誰にもバレていないことだし、昨日の不可解な出来事は、なかったことにしよう。
と俺は、心に決……。
「ねえ、マコ兄。昨日、いつ家に帰ってきたの?」
舌の根が、乾かぬ内に、妹の優奈が、聞いてきた。
「さあ、いつだっていいだろ?」
俺は、答えた。
「マコト、遅くなるのもいいが、相手方に、迷惑かけるものでもないぞ」
今度は、兄の秀人が、説教をしてくる。
「はいはい、分かっているって」
何気なく、返事を返した。
そして、言った瞬間に、『あ、』と後悔した。
この言い方だと……、
「ついに、彼女持ち?」
「今度紹介しろよ?」
やっぱり。言うと思った。
妹と兄が、ここぞとばかりにつついてきた。
「ミノリの所だよ。ゲームしてただけだ。」
俺は、答える。
「ちぇっ、なんだ、つまんない」
「お前にとって、ミノリちゃんは恋愛の対象外だもんな」
大きなお世話だ。そりゃあ、ミノリは恋愛対象外だけれども。
「あ、でも。もし、マコトに子供ができたら、私は、おばあちゃんになるのよね」
母が、間髪入れずに言う。
「そうなると、俺は、おじいちゃんになるのか。楽しみだな」
父も、その話に乗る。
おい、お袋も親父も、それはまだ先の話だろうが。それに、嬉しそうに語るな。俺は、高校生なんだぞ。
色々と問題があるだろうが。
「そうなると、俺は、おじちゃんになるのか。……優奈は、おばちゃんになるんだぞ」
「え〜、おばちゃんって、その呼び方やだ。そうなったら、私の事、お姉ちゃんって、呼ばせるもんっ」
おい、そこの兄妹、その話題を引き継ぐな。
それよりも秀兄、お前の方が先だろうが。
「ごちそうさまでした!!」
俺は、話をブチ切りにして席を立とうとした。
「と言うことは冗談として、一体何があったんだ?」
秀兄に呼び止められた。仕方なしに、もう一度席につく。
やっぱり、誤魔化せなかったか。
俺はため息をつく。
「俺も、よく分かっていない。ただ、ミノリの家で、ゲームをしていたら、気を失った。そして気づいたら、自分の部屋で寝ていたんだ」
秀兄の質問に俺は素直に経緯を話す。
「ゲームって?」
「『モノトーン・ロード~魔王への道~』だ」
「はぁ? 何でそんなものが……、」
「ミノリが持っていたんだ。それで一緒にプレイしてた」
「あ、そ。だけどまあ、何でそんなものをミノリちゃんが、手に入れているのか……。というよりか、プレイしないって選択肢はなかったのかよ」
「その時はプレイしなければならないっていう理由を探してたんだよ」
秀兄の言葉に、俺は昨日の状況を振りかえる。別に思考が乗っ取られていたわけではない。しかし、誘導されていたような気がする。何故そんな風に思うかは、謎だが。
「本当、巻き込まれ体質だよな、お前ら。とはいえ、お前らなら、何が起こってもどうにかするだろ? なあ親父?」
そんな、これから何かが起こるような不吉な予言を秀兄は、発する。
「そうだな、実際にお前らは自分達で、どうにかしてきたしな。……だが、俺たちは家族だ。もし、噂通りにお前らが消えたなら、どんな手段を使ってもお前たちを探しに行く。どんなことがあっても、俺たちはお前の味方だ。だから、お前は、安心して、楽しめ」
親父が、太鼓判を押した。他の人が聞いたら、赤面しそうな言葉を並べているが、俺からしたら、頼もしい言葉だった。これでどんなことが起こっても、俺はゆったりとに構えていられる。
「ん。ありがと。……じゃあ、学校いってきます」
親父たちの絶対の信頼を得て、俺は、今度こそ学校へ行くために席を立った。
俺はいつも、俺がミノリの家へ行って、ミノリと待ち合わせてから学校へいくので、今はミノリの家の前でミノリを待っていた。
マコトは気づいていないが、一緒に学校へ登下校しているため、二人が付き合っていると噂が流れているのである。ミノリが、要らない告白を避けるためにこの状況を作っていた。
まあ、これは余談の話の一つである。
「おはよう。マコト」
「おはよう、ミノリ」
いつもの挨拶である。不安そうな顔もしていなく、スッキリしている。ミノリも家族のフォローが完璧だったようだ。
それにしても、ミノリにとって、昨日の出来事はどうだったのだろうか?
「なあ、ミノリ。昨日って、あれから、どうしたんだ?」
あまり、上手な聞き方ではないが、意図さえ伝われば、ミノリは的確な答えをくれる。
「私は、ゲームが終わって、ディスプレイに何か表示が出てきたところで、意識を失ったみたいなの。でも、朝気づいたときには、ベッドで寝てたわ」
そのまま聞きたい答えをくれた。
うん、やっぱり俺と同じか。
「あ、それでね? 私がご飯食べなかったのに、気にならなかったのかって聞いたら、邪魔しちゃあ悪いから、ですって」
は?
「それって、お前の家族が言ったのか?」
「うぅん、そうなんだよね? マコトとそんなことになることなんて、絶対にないのにね」
俺だってゴメンだ。
「で、ミノリは何て答えたんだ?」
「ん? 私? 『期待しないで待っていてください』かな?」
「おい、それは否定してない」
「え、だって、ここは言葉だけでも期待に応えなければ、ね? 保険かけて、『期待しないで』って言っているわけだし」
何が、ね? だよ。保険って何だよ? 笑えない冗談だろ、それは。だけどまあ、あそこの家族が本気にすることはないのだろうけど。
「それで、マコトのところは?」
当たり前だけど、俺のことも聞いてくる。
「俺か? 俺のところも同じようなものだよ?」
「ふうん、そうなんだ」
「そうなんだよな。帰ってきた形跡が、なくても不思議には思ってなかったんだよな。というか、彼女の家にお泊まりしたって思われて。そして彼女がいるなら、紹介しろって言われた。で、そこから話が飛躍して、孫の話にまで発展した。あ、もちろん彼女はいないからな」
一応、『彼女』の所で釘を指しておく。
「クスクス。ほんと、マコトの家らしいね」
あまり、上手い説明ではなかったが、雰囲気は伝わったのだろう。
「まあな。だからこそ俺は家族に救われているんだけどな」
俺は、ミノリに言う。
「そうね。私も救われてる」
ミノリも言う。
俺たちには、分かっていた。家族が、俺たちが不安を感じていたことを知って、和ませようとしていたことを。
家族の温まる会話で、今まで救われてきた。それに対して俺たちは、家族に感謝の言葉を言ったことはない。当たり前のように受け入れる、それが俺たちの最大の家族に対して『甘える』ことだった。
「家族だもん。甘えることも大事だしね」
そんな今時の高校生がしない会話を俺たちは平気でする。
俺たちの仲がいいのは、こういう会話ができるからだ。
そういう意味では、ミノリは、一番の友人である。
「って、そんな話ばかりしてる場合じゃないな。学校へ、行かないと」
俺は、時間を確認し、ミノリを急かした。
「え? わっ、もうこんな時間なの。急ご、マコ…ト……、」
そこで、ミノリは、倒れた。
「ミノリ!?」
俺は、叫んでミノリを抱き抱えようとした。その瞬間、俺自身も、昨日と同じように、意識が遠くなるのを感じた−−……。
「ここは、どこだ?」
次に目を覚ましたとき、俺は、どこか知らない場所に寝かされていた。
「お目覚めですか? 勇者様?」
俺は、声をかけられた方へと視線をやる。
そこには、騎士服をまとった、20歳ぐらいの青年がいた。
勇者様? 誰の事だ? まさか、俺の事か?
「あの、ここはどこですか? それに、あなたは誰ですか?」
一応丁寧な口調で、俺は聞く。
「申し訳ありませんが、勇者様。私達の王が既に待っております。『白虎の間』へと移動していただけませんか?」
全く見当違いな返事をされた。
俺が聞きたいのは、ここは、どこかということと、彼が誰なのか、と言うことだったのだが。
名前さえ答えないのは、答えたくないからなのか、それとも彼が言うように、とてつもなく急いでいるからなのか。
だからといって、最低限の状況も説明しないで、『移動しろ』はないと思うのだが……。
それに、さっき、王とか言っていたから、ここは王城だとして、彼らに背くのは、得策ではないんだよな。
でもなあ、ただそのまま言うことを聞いて付いていっても癪に触るだけなんだよな。
だけどなぁ、騎士も宮仕えなだけだし、ここで否定したら、可哀想か。
などと考えながら、
「……はい、わかりました」
と結局は答えていた。かなり嫌々に、顔に出ていたと思うが。
それにしても、あの騎士は、さっき俺のことを『勇者様』って呼んだよな? 嫌な予感、ビシバシ感じているんよな。
とんだ厄介事に巻き込まれたと思うと、ため息しか出てこなかった。
ありがとうございました。




