逃走
俺の抵抗むなしく
とんとん拍子に話が進んでしまい
ファインが俺の魔法を見ることになってしまった
今日の正午には家に来てしまう
策とゆう策はない、逃げるか、説得の二択しか思い浮かばない
よし、逃げよう
逃げてどうにかなるとは思ってないが、ファインが家を訪ねて来るときに毎回俺が逃げ切ればなんとかなりそうだ
「今日からファインがお前の魔法をみてくれるな、王宮魔術師に指導してもらえれば、すごい魔術師になれることは間違いないな!」
剣術の稽古の最中なのにニヤニヤしながら問いかけてくる
「それは、まぁ、嬉しいですけど本当にいいんですかね王宮魔術師に見てもらうなんて」
「いいじゃねぇか!こんな機会もう二度とねぇかもしれねーぞ!」
なに興奮してんだよ
俺には必要のないイベントだっつーの!
カン!
俺の持っていた木剣が弾け飛ぶ
わざとだよ、わざと
本気で木剣を振るえば、成長し続けている俺の力じゃ常人では受けることもできないだろうな
「今日は、ここまでにしておこうか!じゃあなアルス!がんばれよー!」
グロウは清々しい表情で道場を出て行った
……もう少し身体が成長したらアイツを叩きのめそう
魔法の稽古もファインに魔法を見せるとゆうことで今日は、なしだ
ファインが魔法を教えに来るたびに
逃げまくっていれば
リスティもグロウも魔法の指導をファインに頼むことも無くなるだろう
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正午になった、そろそろファインが家に来るはずだ
「探索!ファイン!」
これで常に居場所を把握できるぞ!
よし、確かにファインの気配を感じとれる、感覚的なものだがおおよその距離と対象のいる方角は解る
今ファインが家に着いた頃だろう
だ が !俺は家にいないんだよ!
せっかくの冒険を邪魔させてたまるか!
と、思った俺は剣術の稽古が終ってすぐに縮地を使い森の奥深くまで逃走した
ふふふ、ここまでくれば追ってはこれまい
いくら王宮魔術師といっても魔術師だ、身体を動かすのは得意ではないだろう
と安心しきっていると
探索をかけていたファインが俺の居場所へとまっすぐ進んできているような気がする…
一応距離はとっておこう
縮地!!ぐんっと周りの景色が流れていく
魔力量が急激に増加していってる俺には、大量の魔力をつかい縮地を連発することも可能だ
っとこのへんでいいだろ
ファインは森の入り口あたりでじっとしているままだな
どう頑張ってもここまで1時間以上かかるだろう
縮地が使えれば別だが
だがアレはクゥイント家に伝わる固有魔法みたいなものだ
似たようなものはあるかもしれないが、ファインが会得している可能性は低いだろう
ん?ファインの反応が消え…
「見つけましたよ、手間をかけさせないでください」
後ろを振り向くと宙に浮いているファインがいた
「っ!な、なんで?」
突然すぎて主語が抜け落ちるほどビックリだ
「なぜここに私がいるか、ですか?」
「そーだよ!なんで一瞬でここに?」
ちゃんと探索魔法に反応はあった
どう考えてもおかしい…
ファインと俺の距離は十キロ以上離れていたはず
「一瞬でとわかっているとゆうことは、貴方探索魔法を使ってましたね?それも条件指定で」
墓穴を掘ってしまった
だが今更ごまかしはきかないだろう
ここは素直に認めておくか
「そうです探索魔法であなたの位置を常に確認してました。
それで、なぜ一瞬でここにこれたのですか?」
気になるのはコレだ、いくらなんでもおかしい
俺の探索魔法が狂っていたわけでは、ないはずだ
「転移魔法ですよ、貴方の位置がわかったのは同じことをしたからです
ちなみに転移魔法は上級魔法、探索のさらに条件指定まで行うと中級です」
転移魔法かやっぱりあるのか
これはぜひ覚えたいが、この女に俺の実力がバレるのは避けたい
探索魔法が中級に分類されるのは知らなかったが、その程度ならごまかしは効く
「やはり貴方は只者ではないようですね、その年で探索魔法の条件指定まで行うとは…
もう一つ、貴方…中級魔法を使うとき詠唱などしないのでは?」
すっと目を細めながらもわかっているぞ、と言わんばかりの表情だ
「探索魔法は森に出入りするために必死で練習していただけです、もちろん無詠唱で魔術なんて使えませんよ、初級魔術の詠唱すらまともに覚えていないのですから」
そう言い終えるとファインがふふっとっ微笑ましいものを見るように笑った
「なにがおかしいのですか?」
ついムッとした表情で聞いてしまう
生前の年齢も加味すれば俺の方が人生の先輩だぞ
「ふふっ、失礼王宮魔術師ともなると魔力の流れで相手がどの程度の実力があるかわかってしまうのですよ、もちろんだいたいですが
貴方の実力はあんなものではないとはわかりました」
そうゆうことだったのか
だが他人の魔力の流れを感じる事なんて俺はほとんどできない
通常時の他人の魔力の流れなんて感じられないぞ
リスティのときのように上級に魔力を多く使うときなら目にみえてわかるが
初級のファイアボール程度では、今の俺では感じられそうにないな
さすが王宮魔術師と言ったところか
「なぜそこまで隠したがるのかわかりませんが…理由を教えてもらえますか?」
なにか後ろめたいことがあるのでは?と言いたげな視線を向けて来る
十歳の子供に対してそこまで疑わなくてもいいと思うのだが
ただ真面目なだけっぽい感じがするし、魔法のことだけでも話してしまっていいのだが
やはり保険がほしいな
「その前に約束してください、俺の実力がわかっても王宮には連れて行かない、勧誘もしないと」
しばらくの彼女は考えるそぶりをみせたが
「いいでしょう、王宮魔術師の名にかけて約束します」
大丈夫だろうか




