Phobic kites
嵐一過の空の青さに、
Darkな灰色の抽斗か明らみ、閊えのとれた心が
今、ようやくに押しだされ、
等閑にされていた、
_______日々の悦び‥
十月初旬の風はぬくもりの途惑いをとどめ、薄着の私をまぶしい波濤の光へと誘う。
海辺の広場から、漂い揚る小さな凧たちの群・・・
はしゃぎ泳いで、
しゃくりあげるように泳いで、
幼い紅で、
汗ばむ銅で、
うまく、どれもうまく歌おうとして、
哂い、
鳴き、
熾り、
鎮み、
揚り、
時に青々と、謳いたいと想いながら――--‥鬱々と
Hydrophoba
泳ぎたいと願いながら――--‥諾々と
Acrophobia
飛びたいと希いながら――--‥恐々と
Phobia
……≪死≫…への……怖……れ……………明滅する…………赤と、黒と、白と、
凧の飛行士たちは
松林沿いを走り去る
小刻みに
ふるえる翼のピースたち
陽炎のように
うつろいゆく夢のジグソーパズル
儚さを
嵌め込まれた彼らの部屋の壁には
空の墓標‥
風は人々を見送り、夕凪に‥ 目を瞑る海辺のテラスたち
時刻を思い出した外気が、私にカーディガンの袖を通させ
温かな想いが1日と対話を始める
瞬かな星斗1つの夜に熾され光を覚ます・・・
心はメロディーにたしかなリズムを、
羽のように
錨のように
携えて
狂飆のあと…、
一縷の
けれど途切れぬ情熱で
輝かなテンペストの結末の空へと…。