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これはリレー小説でーす。この作品を読む前に、1話目の「わたしの彼氏はパトリック」 2話目「イベントなのかエラーなのか」を読むことをお勧めします。
これは3話ですからねー?
今回の話は、
《作品原案:SPテロリスト様》
《作品構成・執筆:みゃも》の合同作品です。
【DIG クリエイティブ アワード 2012投稿作品】
その日はそれで次第に意識が揺らぎ始め、わたしは仕方なくパトリックに別れを告げ強制ログアウトを行った。おそらく薬の効果が切れ始めたのだろう。間もなく私の意識はその世界から開放されそのコトを視覚的にも確認してから、ほぅ……と吐息をついた。
あれは一体、なんだったのか……? 訳が分からない。
「ン! ……痛ぅ…」
突如、目眩がしてしばらくクラクラとする。
このゲームは新開発だから、コレはなにかしらの副作用なのかもしれないなぁ……。だとしたら、今度のレビューで一応報告しといた方がいいわね。
わたしはそう思い、午後からの仕事へと戻った。
「ただいま~」
誰が居る訳でもないワンルームマンションへ帰り着いた私は、いつもの様に返事の返って来ない暗い室内へと苦笑いを向け吐息をつき部屋の明かりをつけた。つくづく独り身の寂しさを感じてしまうエピソードだ。
そして寂しい部屋の中にあるテレビの電源を入れ、シャワーを浴び。帰り途中のコンビニで買った惣菜と弁当を食べていると、気になるニュースが流れ始めた。
『本日未明、凶器を持った男性が突如として都内で暴れだす、という事件がありました』
『同様に、14歳の女子中学生がこの男性同様に凶器を手に暴れ「わたし達なら世界を変えられる! 変えて見せる!!」と叫び、近くを歩行中だった数人に怪我を負わせたもようです』
『その女子中学生は、酒を飲んでいた訳でもなく。覚せい剤などの反応もないとのことで、現在、警察では家族や学校関係者へ問い合わせ。今回の事件へと発展した因果関係を確認している、との情報です』
「……世の中も末ねぇ…」
わたしはそう零し、お茶をひと口だけ飲む。と!?
「痛ぅ……」
またあの頭痛だ。今日はもうこれで3度目だぞ。
あのゲームが原因なのか。それともその前に飲む薬が原因なのか分からないけど。明日まで様子を見て、問題がある様ならレビュー報告確定だわ!
そう思い、わたしはこの日、眠りについた。
◇◇◇
カタンカタン……カタンカタン…
翌日、いつもの様に満員電車の吊り革に手をやり、もたれかかってくる中年オヤジどもを押しのけ痴漢にも気をつけつつ、わたしは今日もうんざり顔で通勤をしていた。そして会社でいつもの様に仕事をやり、それから今日も昼休みに社内のリラク・スペースへと向かい、そこの自販機でカップジュースを買っていると気になる話が耳に飛び込んで来た。
「グリーン・モバイル社の《バトル・オブ・69》アレってやばくなぁい? わたし、あれを始めてからたまに頭痛がするんだよねぇ」
「あ、それは私も!
そういえば昨日のニュースは見たぁ?」
「ああ、アレでしょ? 見た見たー!
『世界を救う!』とか言って暴れた女子中学生の話」
「昨日さ、4chとツイッター覗いてみながらそのニュース聞いてたんだけどさ。その件だけじゃないらしいよ?
他県でも同様の事件が多発して起きてるんだってさぁー。
他にも『この今の世界情勢には飽き飽きだ。この私が生まれ変わらせてやる』とか叫んでた人も居るらしいよ?」
「え? マジでぇ~??」
「ホントかどうか分からないけど。なんだか急に怖くなって来ちゃってさぁー……わたし」
「…………」
気になる話ではあったけど、お昼休みも限られているので。わたしはそれで構わずに奥のソファーへと座り、早速、いつもの様に薬を2錠飲んだ。そしてわたしは、《バトル・オブ・69》の世界へと精神トリップし、ログインをする。
「ハイ! パトリック♪ こんにちにゃん♪」
「あ、レイ。今日もよろしく♪ 一緒に楽しもう~!」
「はいニャン♪」
早速、パトリックがコマンドコール:ギルドメンバー一覧で、各メンバーのオンライン状態を確認しその人数を見て、こちらを振り返り向いて笑顔を見せた。
「この人数なら、今日もいい戦いが出来そうだよ、レイ」
「やったニャン! では早速、『参戦』するにゃん♪」
「ああ、頼むよ」
「コマンドコール! 『参戦』」
コマンドコールを叫ぶと、たくさんの選択画面が目の前に並んだ。
わたしはそれをポチポチと押し、確認する。
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戦場選択:森林
戦場規模:中(同時参戦可能人数50名)
時間制限:30分
勝利条件:敵拠点占拠または敵将の撃破
敗戦条件:味方拠点陥落または味方将の敗北
作戦開始時刻:5分後
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「コマンドコール:『参戦』 ───以上! 確認!!」
わたしがコマンドコール戦場を宣告すると《開戦開始まで残り4分54秒》とわたしの頭上に表示され、マップが森林へと移った。
始めはパトリックとわたしの2人しか居なかった戦場:森林へ次から次へと人が現れ始め、皆それぞれに個性的な武器を携えていた。中には大鉈や、神秘的なレア装備だと思われる長弓を手にした者まで居る。サブ・ギルドマスターとして、立場がないなぁ……わたし。なんて思う。
それから……秒読みされて、いよいよ。
《バトル・オブ・69》戦場:森林での戦闘開始だ!!
さあ! 今回も上位のポイントを獲得してみせるわよ!!
見てなさいよ! オラ───ッ!!
《作品原案: SPテロリスト様》 http://mypage.syosetu.com/117500/
《作品構成・執筆: みゃも》 の合同作品です。