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Why...  作者: 前田広大
9/10

No.8

俺は、失敗した。


失敗して、それでも諦めきれなくて。

もう一度チャンスをもらえた気がして、ゆっくりと、近づこうとした。


そしてまた、失敗した。


向こうから、あいつのほうから、俺に近づこうとしてくれてる気がしたんだ。


あいつとの距離が縮まった気がして、しょっちゅう話せて、幸せで。

そんな時間がずっと続けばよかった。


でも俺は、また間違った選択肢を選んだ。

そのままで、その状況で十分に幸せだったのに。そのままでいれば、ずっとそのままでいられたかもしれないのに。


もっと近づきたいと、思ってしまったんだ。あいつもそう思ってるんじゃないかなんて、思い込んでしまったんだ。


あいつに想いを伝えて、ひたすら伝え続けた。

そして、あいつは離れていった。

それでもそれに気がつかずに、訴え続けた。

そして、拒絶された。




気がついたら、あいつを傷つけてしまっていたんだ。俺の勝手な思い込みで。


ただ大好きだっただけなのに、それを伝えたかっただけなのに。でも、それはあいつを傷つけるほどに暴走してしまっていた。


前兆はあった。でも俺は、それに気付けなかった。

だから、俺にとってはそれは突然だった。

突然、突きつけられた拒絶。突きつけられた辛い現実。それが、鋭い刃のように心を切り裂いた。

そして、あいつを傷つけてしまったという事実で、その傷は日を追うごとに深くなっていた。





それでも。

しばらく顔を合わせられず、再会した時。

あいつは俺に向かって微笑んだんだ。




私は、ある1つの事実からずっと目を背けようと、逃げようとしていた。

他の場所に、代わりを求め続けた。でも――




その笑顔を見た瞬間、気づいてしまったんだ。

あいつを傷つけてしまい、拒絶され、諦めたつもりでいた。諦めようとした。


――それは、出来なかった。

あいつの笑顔を見た瞬間に。やっぱりこいつじゃないと駄目なんだと気づいたんだ。







笑顔を、向けられたことで。

また、チャンスをもらえたんじゃないかと思ってしまったんだ。


あの時突きつけられた事実で、それがありえないとわかっていたはずなのに。

それでも、期待してしまったんだ。







――そして、また俺は拒絶された。

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