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No.7
答えなんて、どこにもない。
本当にないのか、見つかっていないだけなのかさえわからない。
私がとった行動が正しかったのか、わからない。
正解の存在しない問題、正解がいくつもある問題、選択肢のなかに正解の含まれていない問題…
そんなものばかりだ。そしてその正解は発表されない。
あの時僕のとった行動は正解だったのか。わからない。
あの人は、僕に正解を教えてくれなかった。
僕には推測しかできない。希望的観測をしてみたり、それをすぐ打ち消したり。
答えが見えないまま、時間が過ぎて行く。
俺の行動が間違っていたことはわかりきってる。そしてまたチャンスを得て、また間違った選択肢を選んだ。
これで終わりなのか、終わっていないのか、わからない。
終わらせたいなら、そんな笑顔を俺に向けないでくれ。――でも、その笑顔が見られなかったら、俺はどうなるのだろう。
完全に失うのと、手の届かないそれを見続けるのと。
――どちらも正解であって欲しくない。でも、そこにはもう、手は届かない。