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No.6
未来の事なんて、何もわからない。こうなればいいとか、ああしたいとか、いろいろ勝手に考えるけど、結局その通りにいく事なんかない。全て思った通りになるのは物語の中だけ。だから私は物語を読み、そして書く。でも自分がその中にいたいとは思わない。現実は思ったよりずっと面白い事にいつも向かっているから。自分が考えた希望のままじゃ、つまらないだろう?
僕の中の、『あの人』に近づきたいという思いは強くなり、抑えきれなくて、伝えようとした。あの人も僕を好いてくれているような気がしていた。そして――
俺はきっと、あいつから逃げようとしたんだ。自分の思いが自分ではよくわからないから、人がそうだと言っているほうに逃げようとした。そして、結局――