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No.1
『あの人』は、気がついたらそこにいた。すぐそばに。簡単に手の届くようなところに。
僕はずっと、彼女と一緒にいたいと思っていた。彼女の笑顔を、いろんな表情を、ずっと見ていたいと思っていた。
でも僕は、その感情がなんなのか、ずっとわからなかったんだ。いや、少し離れてしまった今でも、わかっていないのかもしれない。
あいつと最初に出会ったとき。その元気な少年に、とても親近感を抱いた。
動き回るたびに汗が元気に輝き、笑顔が弾け。一瞬俺は変になってしまったんじゃないかと思った。
近づきたいと思った。暗い俺にその元気を分けてほしいと願った。
あいつは、輝いていた。