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■カラカラ短編劇場■  作者: 乙かれぃーぬ


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6/6

愛と好きに向ける手はいつだって偽れない

私の家には双子が住んでいます。


おおよそ、道徳感情というものが壊滅状態の、背丈も顔も、声すらも瓜二つな、小さな鉄面皮を被った私の娘です、この2人は嫌がらせにも思えるようないたずらをよくします、なによりも人で遊ぶことが大好きで。


そこら辺で鳥を捕まえては「空に散れ!」の声と共に、歩行者に向かって投げ付けたり

転んで膝を擦りむいた幼稚園の同級生にさげすむような目を向けて「もう片方も擦りむかないとバランスが良くないよ?」と言いながらおろし金を持って追いかけて、恐怖という傷を刻みつけたり。

おもちゃが主人公を演じる感動物のロードショーを見ながら、ぬいぐるみを殴り倒して、次はお前だ、とでも言うかのように、わざわざ主人公が登場しているタイミングのテレビ画面に腹から綿がはみ出たぬいぐるみを見せつけて勝ち誇った顔をしてみたり.......でもまぁ、私にするいたずらときたら可愛いものです。


どっちがまなでどっちがよしみでしょうだなんて、殆ど個体差が分からないことをいいことに、私を試して来ます。


そのたびに私は、よーく目を細めて、まなよしみを観察するのですが、いっつも答えを外してしまいます。

すると決まってまなよしみは嬉しそうに、にやけたような笑顔を私に向けて。


まなよしみ「 「ぶっぶー!違うよお母さんまた間違えた!」 」


と、綺麗に声を重ねてから決まって。


「私がまなで!」


「私がよしみだよ!」


なんて自己紹介をするんです。

そうして騒がしい笑い声を響かせながら、別の遊び場を求めて走って去ってゆきます。

まなよしみの鉄面皮はその時だけ不可能じゃないか

というような柔軟さで、にたっと変形をすると、可愛らしい表情をあらわにした少女の顔を見せるのです。


あれは、誰に似たのでしょうかね、なんて、そんな微笑み交じりでついたため息は、どこ吹く風よと、勝手に流れて消ていきます。


2人の背中を見届けると私は、いっつも決まってロケットネックレスを開きます。

家族との思い出が写った写真を眺めていると、私はいっつもまなよしみに申し訳のない気持ちが込み上げてきてしまいます。


まなみよしのお父さんが居なくなってから、私は2人に笑顔ひとつも向けてやれていません、好きの言葉だってかけてやれていません。

悪いところばかりが目に映ってしまうあの2人に、今はどんな手を差し伸べてやれば。

なんて言葉をかけたらよいかなんて、もう、わからなくなってしまって。


まなよしみが今よりも、もっと小さかった頃を振り返ると。

とっても感情が豊かで思いやりのある子だったんだと懐かしくなります、けれど......。


あの二人は私に似てしまったんだなぁ、なんて、まなよしみのお父さんが遠くへと旅立った日に。

私が抱いてしまった醜い感情を、ただただ重ねて考えてしまうんです。


そうですね、少しだけ私たち家族のお話をしましょうか。


まなよしみが生まれてから、夫の愛情と好意は家族だけに注がれていて、私はただただ幸せに毎日を過ごしていました。


まなよしみが4歳を迎えた頃です、夫の脳に腫瘍が見つかって寝たきりになってしまいました。

それを知ったまなよしみは5分としないうちに、とっても可愛らしくって頑張り屋のさんのメイドに変身しました、私はさしずめメイド長です。

夫の咳き込む声が聞こえると、まなはコップいっぱいの水を寝室のドアの前へとバタバタフラフラと危なっかしく走りながら持っていきます。

途中で足がもつれて床を水浸しにしてしまうと、寝室前の廊下は天然水と涙でびっしょびしょになります。


よしみはというと、お父さんの為に栄養満点の料理を作るぞ!って意気込んだかと思ったら。

3等分にしただけの大根をフライパンで焼き始めて、その上に卵を殻ごとぶちまければ見事に肉をも炭化させて、最終的には、全ての食材の原型が分からないような、謎の物体へと変化させる手品を見せました、そして。


「これじゃあお父さんに食べてもらえないよー!」


ってわんわん泣いてしまいます、そのたびに私はまなよしみの両手を優しく握って。


「次は上手にできるからね、これは失敗じゃなくって成長だからね、まなよしみも成長できて偉い偉いだよ、そんなに泣いちゃったらお父さんのお顔がにじんで見えなくなっちゃうよ?」


なんて、次に成長する時に涙で前が見えなくならいようっにって、お父さんを出汁だしに使ったおまじないをかけて2人を引き寄せて抱きしめます。


お父さんは、もうなんなのかも分からないものが乗っかったお皿を手に取って、私たちの前でしばらく、ガリガリという咀嚼音と咳き込む声をさせながら、いぶかしい顔をさせて食らいつきます。


よしみが不安そうに、顔をしかめながらアタフタしていると。


「これは間違いなく世界一美味しい料理だ!ありがとうなよしみ!またお父さんのために作っておくれよ!まなが汲んでくれた水だって人生でいっちばん美味うまいぞ!天才か!?」


なんて、寝たきりの、ただでさえ弱ってかすれた喉を酷使して声を張り上げます、それを聞いたよしみは、不安そうにしていた顰めっしかめっつらを笑顔に変えて可愛らしくガッツポーズをすると。

目をまんまるく見開いて口を満開に開いて喜ぶまなと何度もハイタッチをします。


私はそれを見ているとなんだかおかしくなってしまって、くすくすと笑ってしまいます。


まなよしみが産まれてから5年が経った頃です、夫はもう2度と帰ることの出来ない場所へと旅に出ました。


夫の葬別のあと私は、なーんにも考えられないまんま、玄関にある窓の前で空を見上げながら、ただぼーっと突っ伏すことしか出来ませんでした。

そうしていると、不意に私の両手を、震える生暖かい感触が掴みました。

まなみよしが、言葉のない不安を私を頼って伝えに来たんです。

こんな時はすぐにでも、2人を励ます言葉をかけないといけなかったのに。


今は一人で居たいんだよ、邪魔だなぁ、わずらわしい手だなぁ.....なんて、拒絶の気持ちを抱いてしまいました。


まなよしみの潤んだ瞳が私の視界に入ると、私はようやく正気に戻れました、目をつぶって一呼吸を置いてから。

まなよしみの目をちゃんと見れるようにと、おんなじ目線まで腰を下ろして。


「大丈夫だよ、お父さんが居なくなってもね、私はまなのことが大好だいすきだよ、よしみのこともあいしているからね、これからもずっとずっと、ちゃ〜んと2人を守ってあげるからね、まだお母さんが居るから、ね?泣かないで?ね?2人とも、偉い偉いだよ」


だなんて、どの口が言うんだよ。

私は、うそぶく言葉を小さな2つの耳に囁きながら、心ここにあらずの乾いた目で静かにうなずく2人に無感情の笑みを作っていました。


その時にハッと、ああ.....そうなんだなって気がついてしまいました。

私は葬別終わりの窓の前に立って、あんなに一緒に笑い合って、思い出を作った家族の死に。

一瞬だけでも、無関心になってしまって、私の両手を頼ってくれたまなよしみに、悪意を向けてしまったんだなって。


まなよしみに向けていた私の気持ちは、本当は愛情でも、好意でも、なんでもなかったんじゃないかなんて、そう思い込んでしまうと。

見つけてはいけなかった、考えるべきではなかった私の中の悪意は、私自身への猜疑心さいぎしんとなって、ただただ良心を痛めつけていくんです。

私のそんな、心の無い血を2人は色濃く、のDNAに刻んで産まれて来てしまったんだ。

可哀そうだな、私の子供になってしまったばっかりに.....かわいそうだな....かわいそうだよ。


「どうしたのお母さん、なんか暗いよ?よくないよ?」


「そうだよお母さん、暗いのはダメなんだよ?」


もうじき6歳を迎える2つの鉄面皮が無表情に私を見透かしに来ました、この2人はいっつも私を泣かせてくれません。


「あらあら、暗くなんてないわよ、どうしたのまなよしみも、もう遊ぶのに飽きちゃったの?」


私はそう言って交互に2人を見ながら、なるべく優しく問いかけます。


まなよしみ「 「あー!また間違えたー!」 」


「私がよしみでぇ~」


「私がまななのにぃ~」


2人はそう言って首をかしげながら、にたりと口角を広げて、お互いの顔を向かい合わせると、くすくすと笑っています。

笑う声が止まって私に向き直ると、なんだか、もじもじとしながら喋り始めます。


「あのねっ!お母さん!ピエロのお兄さんがね!デパートの遊園地で風船を配ってるの!」


「お母さんも一緒に風船をもらいに行こうよ!1人に1個配ってるんだってさ!家族で行くと風船がぁ....」


よしみまなとアイコンタクトをとると、今までに見たこともないような笑顔と元気な声を合わせて叫びます。


まなよしみ「 「4つももらえるんだよ!!すごくない!?」 」


「あ、え、えぇ、う、うん、いいわね、ええ、い来ましょうかぁ?」


こんなに張り切っている2人を見るのは初めてでした、お父さんに料理を作っていた時だって、こんなに活き活きとしていたことはありません、私はついつい動揺をしてしまいました。

けれど、2人の純粋に輝く瞳を見ていると、なんだかとっても懐かしい気持ちを感じてしまって、突然の気迫にやられてしまった私の心拍がワクワクと、独特に揺れるまなよしみを見て落ち着きを取り戻すのを感じます


胸を撫で下ろしながら、たまには2人とのお散歩もいいかなって思ったら、なんだか嬉しくなってしまって。

心臓のドキドキが喜びの音に変わったのがわかると、私はすぐに外出用のロングコートを取りに行くことにしました。

それにしても、家族で貰える風船が4つだなんて、まなよしみも、来年になったら中学生じゃないですか、算数からちゃんと教え直さないといといけないみたいですね。


「はいはい行きましょうね、着替えて来るから玄関で待っていてね、そうそう、まな?風船はどうして4つも貰えるの?」


2人はまた顔を見合せて、しばらく難しそうな表情をしたかと思ったら、こちらを向き直って嬉しそうに喋り出します。


「ピエロのお兄さんにお父さんの話をしたらね!」


「ぜひお母さんも連れて来てよってさ!楽しそうな私たちの写真もぉ......」


まなよしみ「 「たくさん見たいんだってさ!!」 」


「それとね!それとね!私がまなで!」


「でね!でね!私がよしみだよ!」


まなよしみ「 「家族でお出かけだぁ!!」 」


そう言ってまなよしみはクルクルるんるんと腕を組んで踊り始めました。

けれど私は、2人の言うピエロのお兄さんの言葉を聞いて、とっても怪しく思いました。

私はまなよしみの瞳を交互に見ながら言い聞かせるようにして伺います。


「ねぇまな?ねぇよしみ?そのピエロのお兄さんにはちゃんとお父さんのことを話したんだよね?ね?まなよしみ?もうこの世に居ないってこともさ、ちゃんと話したんだよね?」


2人は今度はなんだか恥ずかしそうに顔を手で覆いながら足をパタパタとさせて言います。


「そうだよ!そうだよ!だから家族が揃ったとこをちゃんと見たいんだって!それから風船を渡したいんだってさ!」


「私たちは素敵な家族なんだって!ねえ!ねえ!お母さん!今日はどうし」


私はよしみの声をかき消きけして、家中に響くほどの怒声を2人に浴びせてしまいました。


「そんな意地悪な人に会いに行っちゃダメ!お父さんはもうこの世に居ないって言うのにそいつはどうして会いたいだなんて言えるんだ!会えるんだったら私が会いに行きたいくらいだ!そのピエロは陰湿で無礼で愚かな人間だ!行きたかったら2人で行って来なさい!私はそんな奴が配る風船なんて貰いたくないよ!」


怒鳴り声が止んで、しばらく私の荒い息の声だけが、静かな部屋に唯一の音を作っていました。


私は暗闇の静寂の中ですぐに我に返ると、頭に言葉が浮かぶよりも先にハッとなって目を見開いて、まなよしみに視線を移しました。


まなよしみは 、潤んだ瞳で不安そうな表情をして、私に震える手を伸ばそうとしています。


これって.........。


夫の葬別のあと、窓の前に立つ私の両手をまなよしみは今みたいに震える手で掴んでくれていました。

けれどあれから時間が経って、まなよしみもしっかりと成長をして。

水を零さなくなって、料理もずっと上手に作れるようになって、私の両手だって、あの頃よりもずっとずっと強く固く掴んでくれるはずの2つの手は、あの頃より

とっても遠くなって、とってもとっても小さくなってしまったんだなって、気がついてしまいました、なんだか私は怖くなってしまって、その場にへたりこんでしまいました。

私は、背中を向けて外へと走ってゆくまなよしみにじんだ背中を、もうおんなじ目線に立てない瞳で、ただただ見つめることしか出来ませんでした。


放心、無心、虚無感の中で、誰かに向ける疑心なんて無くなってしまったのになおまなみよしを傷つけてしまった自分を責め続けてしまっています。

許してもらう言葉をたっくさん考えながらも、私は玄関から立ち上がれずに。

2人にはなにをしてあげたら、どうすることがよかったんだろうなんて過ぎたことを、窓の外を眺めながら、時間も忘れてただただ考えています。


どれくらいの時間が過ぎたころでしょうか、外から悲鳴が聞こえてきました。


まな!?よしみ!?」


2人の声かもしれないと思うと、どうしようかなんて考えている頭も働かずに。

気が付いたら私は、デパートの屋上から今にも落ちてしまいそうな小さな命を見上げて、息を切らしてへたりこんでいました。


まな!絶対に暴れないでね!今から助けに行くからね!」


「お母さん!怖いよ!助けて!お母さん!」


必死に落ちまいと泣きじゃくるまなの悲鳴に錯乱をして頭のリミッターが外れたのか

私はデパートまでの道を走って疲れきった足で立ち上がります。

8階建ての館内にある階段を一気に駆け上がって屋上に到着すると

どうして誰もまなをいつまでも助けてあげられないのかを理解しました。


屋上のへりから大きくはみ出た展望ステージが壊れたみたいで

木製の骨組みの殆どが折れて、そう状に突起してこちらへ矛先を向けています。

そして、突起した瓦礫の殆どが隙間なくよしみへの行く手をはばんでしまっているんです。


助けを待っていたらまなは落ちてしまう、そうしたらよしみはどうなってしまうの?


お父さんが居なくなって、まなも居なくなって、よしみを傷つけてしまう私だけが残ってしまったら。

そんなことをぐるぐると巡らせていると、まなが私を呼ぶ声がしました。


「お母さん!」


そうこうしてるうちにまなの小さくて消えそうな声が聞こえて来ました。


「ありがとう」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


気がついたらまなは私の胸の上に居て、空を背負ってお母さんは馬鹿だと何回も、何度も言って泣いています。


濡れて細くなった目を覗き込むと、まなはぴたりと止まって目をまんまるく開きます。


「どうしたのまな?ここは?」


「お母さんは私と一緒に落ちたの!お母さんはバカだ!なんでそんなにバカんだよ!?ほんとにお母さんはバカだ!なにやってんだよバカァ!」


泣きながらワンパターンの罵倒を言葉にするまなの拳は、今にも私に降り注いで来そうです。

それなのに、何を躊躇ためらっているのか、大丈夫ですよ、まなは私を何発だって殴っていいんです、それくらいの事を私はしてきたのですから。


「こんなんじゃ....手も握れないじゃんか.....」


頭は疑問符で埋め尽くされて、ふと、視線を右に移すと、心配顔のピエロが気絶をしたよしみをおんぶしています。


私はピエロをキッと睨んで「その子を離して!」とキツく言葉をぶつけます。


ピエロはすぐに頭を下げて謝ると、屋上から落ちてから意識が戻るまでのことを説明してくれました。


まなの手が屋上のへりから離れた瞬間です、私が突然走り出して瓦礫の何本かを体に突き刺しながら、そのまま飛び降りて

よしみを空中でキャッチして抱きだきかかえると、デパートにあるゴミ捨て場の箱の中に落ちたみたいです。


騒ぎを聞いて駆け付けた通行人が気転を利かせてゴミ箱の蓋を開けていたのと、回収前のゴミ袋がクッションになったことが幸いしたようで、まなは落ちるよしみと私を見た途端に気を失ってしまったそうです。



それを聞いてすぐによしみに目を向けると、体中が血に染まっていました。

私のお腹と脚には木片が突き刺さっています、出血も多くって意識ははっきりとしていません。

私はよしみの、今にも降ってきそうな小さな手を握って、なるべく優しく問いかけます


「大丈夫?痛くなかった?」


よしみは涙を溜めた可愛らしい瞳でこちを睨みつけて、ふくれっ面の怒ったような顔をしてただ黙っています。

何を言ったらいいのか、どうするべきなのかも分からないまま

私はただただ安心させようと、よしみの頭に手を置いて。


「大丈夫だよ?泣かないよ?偉い、偉いだよ?だいじょうぶだよ.......なかない....えらい..えらい......」


意識はそのままパトカーのサイレンの音と共に途絶えていきました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


真っ白な空の下、生きることを伝える一定のリズムで鳴る機械の音を聞きながら

ぼやけた頭を右に向けると、ほうけた顔をしてじっとこちらに可愛いらしくって大きな瞳を向けている女の子が立っています。


私がぼやけた声で「まな......」と呟くと、今にも泣き出しそうな声を大きくさせて、嬉しそうに駆け寄って来ます。


「そうだよお母さん!まなだよ!まな!ああ!待ってて!よしみ!とあと!お医者さん呼ぶ!」


そう言ってまなは、慌ててよしみと看護師を呼びに駆け出します。

私は、枕元のナースコールに気が付いてなんだかくすくすと笑ってしまいました。


すぐに、まなよしみが戻って来てベッドの左右に立つと、私を覗きこみながら可愛らしいいたずらを仕掛けます。


まなよしみ「どっちがまなで、どっちがよしみでしょう!?」


私はくすくすと笑って、手のひらを向けた手を愛と好きに差し出します。

二人はわくわくとしながら両手で覆うように私の手を握ります。


「右手がまなで、左手がよしみ


まなよしみ「正解!」


「ねえねえ!どうしてどうして!?」


「今日も!デパートの時も!ね!?よしみ!」


「違うよもっと前からだったよまな!」


顔を見合せながらキャッキャとはしゃぐ2人は、同時にバッと、私に笑顔を向けると。


まなよしみ「どうしてわかるようになったの!?」


なんて、少し頬を赤らめて聞きます。


「あら、実は最初っから分かっていたのよ?」


「ん〜?わざと間違えてたの?」


「え〜?どうして?」


「だってね、いっつもまなよしみを間違えるとね、ほんっとうに純粋な顔で、嬉しそうに笑うんですもの、私はその顔が見たくてね、ついつい、いっつも」


まなよしみは首を傾けながら眉を潜めて見つめ合うと、パッと私に向き直って、大きな声を合わせて言います。


まなよしみ「そんなの嬉しくない!お母さんだけは私たちを間違っちゃダメなんだよ!」


「あ.......うん、そうだね、もう間違えないからね、ごめんね、まなよしみ


私がそう言うと2人はとっても柔らかくって穏やかな表情を作って

手の平を私の頭の上に乗せて、ずっと練習してたんじゃないかって思うくらいに優しく撫でながら。


まなよしみ「お母さん、えらいえらいだよ」


なんて言うんです、可笑しくって可笑しくって、本当は笑いたかったのに、なんだか涙が溢れてきてしまって。


そんな私を抱きしめる4本の腕は、細くって、だけどたくましくって、とってもとっても安心をさせてくれて。

私は今、まなよしみに守られて、ちゃんと笑えています。


この子たちは、ちゃんと私の子供です、ちゃーんと、私の愛と、私の好です。

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