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プロローグ:カラカラ短編劇場
外観の壁が崩れて、本来の壁紙の色もわからなくなったボロボロの映画館がある。
「まだここにある物語は続いているようだ」
画噺人生は小説の題材採集のために通りかかった道の途中で、興味を惹かれて立ち止まった。
館内からはカラカラと映写機がフィルムを回す音がする。
門前にあるバナー広告から目を離して、映画館の門前を自前の吊り目を細くさせて睨みつける。
「きっと忘れられた物語が集まっている、可哀想だ、観てあげないといけない」
情けからか、使命感からか、人生は取り憑かれたかのように館内へと足を運び、映写機の音を辿って映写室に入るとカラカラと鳴っていた音はどこへと消えたのか。
無音の映写室には映画のフィルムケースが散らかり、ただポツネンと映写機が置かれている。
「わたしに観てほしいのかしらね?うん、そう思うことにしましょう、そうね、この物語なんかが面白そうだ」
人生は【死を埋める鉄】というタイトルのフィルムケースを拾って映写機に装填し起動スイッチを入れた。
リールがフィルムを巻き込んで音を鳴らし、シアターのスクリーンに映像が映し出されると
5篇の短編を集めた物語が上映されることになる。




