14. サマービーチ大作戦
カッと身を焼く日差しが窓から差し込み、ウィンは目を覚ました
(夏だ)
じっとしていられなくてベッドから跳ね起きた
その日、気象庁は梅雨明け宣言をしたが、そんなことは天気予報を見るまでもなく誰にでもわかる
ジェイもマリーンも朝からはしゃいでいるウィンを見て夏の訪れを知った
「やっぱり南国生まれなのね
いままで雨ばっかりだから鬱陶しかったでしょ」
「よし、今日は海へ行こう
おしゃれなカフェに水着のおねえちゃんがわんさかいるとこ」
「ちょっと、ジェイ~」
「もちろん、マリーンがいちばん綺麗に決まってるって」
「マリーンのビキニ! 見たい!」
「ビキニ! ビキニ! それビキニ!」
二人のビキニコールに応えてマリーンがビキニ姿で現れると、男たちはデレデレになって舐め回すように見つめ、何故かハイタッチした
水着は普通サイズのはずだが、ギリギリまで伸ばされてやたらと面積が少なく見える
「マリーン、すごい、パツンパツンだ」
ウィンは誉め言葉のつもりらしいが、マリーンは顔を曇らせた
「え、そうなの?
やだわ、太ったのかしら」
「いや、マリーンはそれでいいんだ、最高だよ
こらウィン、あんまり見るな」
負けずにハイテンションなジェイは、マリーンの前にゴールキーパーとなって立ち塞がりウィンの視界を遮った
「えー、ずるいよジェイ」
「さあ、支度しろ
海パンも買ってもらったんだろ」
海水浴場は歩いて行ける近さなので、3人は水着にシャツを羽織り、マリーンはパレオを腰に巻き付けてビーチサンダルで繰り出す
平日の午前中だが砂浜はもうたくさんの人で埋まっていた
この海水浴場はメジャーな観光地からは離れているのだが、いつの間にかインバウンドのSNSにピックアップされていたらしく、日本人より外国の観光客のほうが多いくらいだ
数年前から海の家ではなく小洒落たカフェが立ち並び、なるほど水着のおねえちゃんがわんさかいる
もちろんそれを取り巻く男たちも
そのギャラリーをちらりと見たジェイは、恭しくマリーンのシャツを脱がせパレオをするりと外した
それを小姓役? のウィンにバサッと放り投げて持たせる
(ダイナマイトバディ炸裂!)
あちらこちらで「おお」という感嘆の声が聞こえた
3人がというよりマリーンが歩くたび、男たちの視線がついてくる
(くぅ~、気持ちいい)
ジェイはこの瞬間がたまらない
彼女の腰を抱いて "俺の女だ" と猛アピールすると、穴が開いてもおかしくないほど鋭い視線が今度はジェイに突き刺さった
「ねぇ、僕はお邪魔虫?」
後ろを歩くウィンが心配そうに小声で訊いた
「いいや、おまえがいると助かる
俺がビールを買いに行く間、マリーンを守るんだ」
ジェイも小声で答えた
「あいつらは飢えたハイエナだと思え」
「ハイエナ!」
「そうだ、去年なんかちょっと目を離すとすぐ男が群がってきて、ビールどころか小便に行くのも大変だったんだ
おまえはマリーンにママみたいに甘えて、奴らを寄せ付けないようにしろ」
「ママみたいに…じゃ
おっぱい触ってもいい?」
「ちょっとだけなら許すが、やりすぎるとマリーンにぶっ飛ばされっぞ
乳首には触るな!」
「らじゃ」
ウィンは敬礼し、どうやら男たちの密約は成立したようだ
砂浜はもう火傷するほどに熱かった




