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58,なんで捕まえてきてんだよ

 ジュラドース捜索に出ていた組が戻ってきたのは日が暮れた頃で、そのチャリオットには大量の素材と、ついでに確保されたナリュバーニが乗っていた。

 ご機嫌なチグサとため息を吐いているアンドレイの対比が、どんな道中だったのかを察しさせる。


「セダム!ナリュバーニだよ!解体して!」

「なんでジュラドース探しに行ってナリュバーニ捕まえてきてんだよ団長。しかもジュラドースの素材もしっかり確保してるし」

「行きでコリンが見つけて、帰り道でもちょうど見つけたからだね。チャリオットにまだ少し余裕もあったし、ナリュバーニは確保したいだろう」


 ふふん、と胸を張ってそんなことを言ったチグサは後ろからアンドレイに頭をひっぱたかれているので、それは無視してセダムは馬車から解体道具を持ってきた。

 既に確保されているのだから、セダムはさっさと解体して素材を確保するしかないのである。


「エリオットさん、大丈夫ですか?」

「疲れただけだ。はぁどっこい……おれももういい歳だからなぁ」

「エリーがおじさんみたいなこと言ってる」

「その呼び方やめろ。あとおれはもうおっさんだよ」


 食事の準備が進められている焚火の傍では、椅子に腰かけ疲れた声を出しているエリオットの傍にカタリナが寄ってきていた。

 先ほどまで馬たちの様子を見ていたのだが、特に問題ないと判断したのかチャリオットを外して牽引用の皮のベルトを外した後は好きにさせているようだ。


 エリオットの事をエリーと呼ぶのは割と悪ふざけなのだが、困ったことにカタリナだけではなくサシャも呼ぶ。カタリナは完全に悪ふざけで、サシャはカタリナの呼び方がうつっているのだろう。

 服の裾にじゃれるカタリナを隣の椅子まで誘導しつつ、エリオットはまだまだ元気なコリンに目を向ける。


「あいつはなんであんなに元気なんだ?」

「コリン君の体力は無限ですから」

「子供は体力無限にある」

「もう子供じゃねぇだろあいつも。いくつになったよ」

「十八?」

「じゃあ体力無限だ」


 エリオットとカタリナに混ざってコリンを見ていたギーネは、いつの間にか二人の視線が自分に向いていることに気付いてびくりと肩を揺らした。

 もう既にゴーグルを外しているから、エリオットとしっかり目があったのだ。しっかり目が合うことが珍しい人なので、それだけで驚いてしまう。


「で、お前はどうした?」

「え……っと」

「ギネ、普段いかないから。疲れた?」

「……疲れた、わけじゃなくて」


 じっと見つめられてギーネは、この二人の目がしっかり見えているなんて、外部の人では絶対に見られない光景だな、なんて考えていた。

 ちょっとした現実逃避だ。答えたくないわけではないが、聞かれると思っていなかったので驚いてしまった。


「……代替わりを考えられてるんだな、って思っただけです」


 チグサがギーネを討伐や素材採集というギーネの分野とは違う場所にも連れていく理由は、ギーネを自分の後継にするためだ。

 つまりはアジサシの二代目団長として育てられている、という事であり、いつかはチグサがアジサシを離れていってしまう、という事でもある。


「うむ」

「まぁ、お嬢はあれで歳は取ってるらしいしな」

「団長はギネを見つけたから、アジサシ続ける気になったんだよ」

「……そうなんですか?」

「そ。ギネが来たからコリンも連れてきたし、今もちょっとだけ次の子たち探してる。ろっくんは戦闘だからいらなかった。戦闘はもうコリンがいる」


 カタリナたちは承知のことだったのだが、チグサは元々アジサシで代替わりなどは考えておらず、自分の代で終わらせるつもりだった。

 アジサシは旅商人以外の生き方を知らなかったチグサが自分のために始めたことであり、それ以降にも続けていくことは考えられていなかったのだ。


 なんやかんやと人は増えたが、全員チグサとそう歳が変わらないのも、アジサシをやめて余生を考える頃が揃うように、という考えがあってのことだった。

 だというのにチグサは、うっかりギーネを見つけて拾って来た。


 放置するにはあまりにも惜しい、とうっかり拾った結果、自分が引退した後もアジサシを続けられないとこの子は困るのでは、と気付いて次世代を探し始めたのである。

 あまりにも無計画なのだが、チグサは基本そんな感じで生きている。アジサシだってその時々の思い付きなどで行先を決めているのがいい例だ。


「次は解体あたり探してんじゃねぇか?」

「うん、解体は出来なきゃ困る。御者も探してもらわなきゃ困る。ギネ、御者もやる?」

「えぇ……地上はともかく空は無理だよ。ルムとニムに任せきりになっちゃう」

「でもコリンは無理。やっぱりギネも慣れとくべき」


 アジサシは次世代でもまた御者探しで困るのか、なんてエリオットがしみじみしているのをよそに、カタリナとギーネは御者技能でやんややんや言い合っている。

 出来るに越したことはないのだから習ってみればいいのに、と小さく声に出す。


 ギーネからは抗議の視線が飛んできたが、カタリナがわざわざ言うのならば出来ないわけではないのだと思う。

 アジサシはそうやって「まぁ出来なくはないだろ」であれこれと技能を身に着けていくやつしかいないので、最終的にはギーネも御者台に座れるようになるのだろう。

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