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29,行先を決めるよ

 夜になって宿に皆が集まってきた頃。チグサはアジサシ団員を部屋に集めていた。

 馬車に残るカタリナとエリオットは居ないが、他の面々は部屋に集まっており、各々好きに腰掛けたり話したりしている。

 全員集まったところでチグサは二回ほど手を叩いて視線を集め、声を張った。


「次の行先を決めるよ。どこか行きたいところとか、やりたいこととかあるかい?」


 エリオットとカタリナには先に聞いてきたのだが、二人は特に希望はないので任せる、との事だった。

 なので今ここにいる面子で予定を決めないといけない。

 普段アジサシの予定はチグサが勝手に決めることも多いけれど、話し合いになることもまぁある。急ぎの予定がなければ話し合うことも多いのだ。


「レウコスなんかあるか?」

「えー……あ、あれ。木彫りの細工したい」

「じゃあ木材仕入れに行くか」

「どこの木がいい?」

「どこのでも作るけどな……」


 予定のないときのアジサシは、サシャが作りたい料理や欲しい食材を探しに行ったり、レウコスがやりたい細工の材料を買いに行ったりすることが多い。

 話を振ればとりあえずやりたい事を声に出すのがこの二人だから、というのが大きな理由だ。


「あ、はい!」

「はいコリン」

「師匠から剣を別のにしてみるかって言われてたの思い出しました!」

「あぁ、そういえばそんなこと言ってたね」


 木材の主な調達場所、と考え始めたところでコリンが手を上げて、元気よく忘れかけていた話を話題に挙げる。

 そういえば少し前に、コリンの身長が一気に伸びたこともあって剣ももう少し長さと重さがあるものに変えてみるか、という話になったのだった。


 それなら、剣が色々あるところの方がいいか。木材は道中の村などで調達するとして……剣と聞いて真っ先に思い浮かぶのは第一大陸だが、さてどこにするか。

 ほかに何か仕入れようと言っていたけれど仕入れていなかったものはあったか、とメモをめくって、ついでに買えそうなものを探す。


「……そういえば前回第二大陸はほとんど素通りだったし、イツァムナーにでも行くかい?」

「あぁ、魔導器の仕入れもしてなかったな……」


 前に第二大陸に行ったときには、バタバタしていて一か所隠れ里に寄っただけだったし、イツァムナー同盟諸国に向かうのは良い案な気もする。

 イツァムナー同盟諸国は四か国が非常に近くに集まっている関係で、様々なものが集まって来るので、行けば大抵のものは手に入る。


「なら買い付けだけで販売はほとんどしないな」

「そうだね。まぁ、ちょうど積み荷も減ったしちょうどいいだろう」

「誰かが寝てたせいで仕入れ出来てないからな」

「その間売ってもないだろうに……」


 アンドレイはまだちょっと怒っているようなので、そちらは向かないようにしておきつつ、予定を決める。

 次の目的地としたイツァムナーは第二大陸、今いるのは第五大陸だ。

 陸路で行こうと思うとぐるりと大陸を回って第四大陸と第三大陸を通過し、第二大陸に入ることになる。


「うーん……まぁ、普通に第一大陸へ渡ってから第二大陸に入ろうか」

「了解、じゃあカタリナに伝えてくる」

「はーい、お願いね。他に何か行きたいところとかなければ、解散して寝ようか」


 陸路は前回通ったので、前回とは逆に、内海と外海の接続地である第五大陸と第一大陸の間を飛んで渡り、第一大陸で陸に降りることにした。

 この海峡を飛んで渡るのも、まぁいつもの事なので特に問題はない。


「第一大陸ってなると……素材増えるか?」

「積みたいのなら倒しつつ行くよ。どうする?」

「レウコスがちょいちょい使ってるからなぁ……まぁ、いいのがいたら倒して積むか」


 セダムがぼやくのを聞きつつ、チグサはのんびりと経路を考える。

 結局はその時々の状況によるのだけれど、基本となる予定は考えておいた方が何かと楽だ。

 まぁ、決めたとしてもカタリナと馬たちの気分に合わなければ変更されるのだが。


「さて、ボクももう寝ようかな」

「散々寝てたのに?」

「あんまり寝てたって実感もないんだよね」


 怒られる時間自体は大したことなかったけれど、これは中々怒っているな、とアンドレイの様子をうかがって、ちょっと冷や汗をかく。

 チグサに原因があったわけではないからそこまで怒りはしなかったが、だからと言ってそれまでの怒りが無になったわけではない、と。


 他の団員が同じことになったとしてもここまで怒ることはないだろうが、アンドレイはチグサに対しては厳しいところがあるので仕方がない。

 ある種の甘えか……とチグサはバレたらまた怒られそうなことを思って、毎度甘んじて怒られているのだ。


「さ、アンドレイも早めに寝なね。どうせ移動中ボクらは暇だ」

「そうだな。じゃ、おやすみ」

「おやすみ」


 部屋から出ていったアンドレイを見送って、チグサはベッドに腰かけた。

 隣のベッドではすでにサシャが寝転がっており、部屋には二人しかいない。アジサシの女性陣は三人だが、カタリナは宿には来ないので。


「ねえサシャ」

「どうしたの団長」

「ボクが寝てる間、アンドレイ休んでた?」

「あんまり。団長の想像通りだと思うよ」

「そっか……うん、了解」


 ちくちく怒ってつついてきたのは、疲れ故の苛立ちもあるのだろう。

 ならば一晩ゆっくり寝た後ならば収まっている可能性も高いので、移動中もゆっくり休ませる方がよさそうだ。チグサが寝ている間は随分と苦労を掛けたようだし、その分だと言えば納得もするだろう。

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