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14,何度見ても綺麗だね

 天体観測開始から三日が経ち、コリン以外が朝まで起きていられるようになった頃に、空に星が走った。

 他の星を先導するようにゆっくりと空を進む流星龍を見て、団員たちが歓声を上げる。

 今日も早々に寝落ちしたコリンを起こして流れていく星を眺め、その行先と通って来た道筋を確認して、置いてきた観測用の魔道具が動いているのを確かめた。


「何度見ても綺麗だね」

「あ、落ちた!今落ちましたよ!」

「お前さっきまで寝てたのに元気だなぁ……」


 寝ていたコリンも流星龍を見たら完全に目が覚めたのか誰よりも元気になったので、その声に笑いながら全員で天体観測を続ける。

 そうして白んできた空に流星龍が消えて行った後、散らばって観測機器と目的の素材を回収にいく。


 今回の目的は、流星龍が星と共に空を通る際に落とす鱗だ。キラキラと光を反射しながら落ちていくそれは流星鱗と呼ばれている。

 薬の材料にも魔道具の材料にもなるし、その美しさからそのまま加工してアクセサリーにしても人気のある素材だ。早々取れる素材じゃないので、拾えるだけ拾いたい。


 昇って来た朝日に照らされながら鱗を拾い集め、途中うっかり手を切ったりしながらもそれなりの数を拾い集める事が出来た。

 血で汚れないようにしながら馬車まで戻ってきたら、先に戻ってきていたサシャに呆れた顔をされる。


「団長、別れる時あたしたちには気を付けろって言わなかった?」

「ごめんごめん、うっかりしてたよ」


 手当されながら回収できた鱗の数を数えていると、続々と団員たちが戻ってくる。

 包帯の巻かれた指を見てアンドレイにも呆れた顔をされたので、何か言われる前に鱗を受け取って魔道具の点検を頼んでおいた。

 この魔道具は一定の範囲内で一定以上の魔力が発せられた回数を数える魔道具で、今回は鱗が何枚落ちたかの確認に使っていたのだ。


「……ギーネとセダムが戻ってこないね」

「探してきましょうか?」

「そうだね、頼めるかい」


 朝日が昇りきって明るくなった野営地で朝食の支度を見守りながら鱗の数を数えていたのだけれど、数え終えた分を纏め終えてもまだ戻ってこないのが二人いる。

 チグサが声に出すとすぐにコリンが反応したので、捜索を頼んでチグサも立ち上がった。


 ひとまず十枚ずつに纏めた分だけでも馬車の中に入れておこう、と思って馬車の中に持って行き、纏めたそれでうっかり誰かが手を切ったりしないように布に包んで箱に入れ、箱の蓋にメモを張り付けておく。

 これでうっかり手を切ることはないだろう。


 そんなことをして朝食準備中のサシャの所に戻ってくると、コリンが一人かけてくるのが見えた。

 二人が見つからなかった、という訳ではなさそうだ。

 その上、別に危機感は感じないので事件があったわけでもないらしい。


「団長!なんか最後の一枚が見つかんないらしいです!」

「なるほど、それで戻ってこないのか。撤退でいいって伝えて来てくれるかい」

「はーい!」


 貴重な素材ではあるが、一枚の鱗に躍起にならないといけないほどの物ではない。

 魔道具の反応的にもう一枚ある、という事なのだろうけれど、その一枚程度は自然の取り分と言うことにしておこう。


 流星鱗は落ちた土地の魔力を底上げするとも言われている。

 取り損ねた鱗はこの地の魔力を底上げしてもらって、今度来る頃には何か貴重な薬草類でも自生している事を願ってみるのも良いだろう。


「ただいまー……団長手切ったの?僕らには気を付けろって言ったのに」

「どうせ別の事考えたんだろ」

「む……目敏い上に口煩い。あぁ、ありがとうねコリン」


 戻って来た二人から回収した鱗を受け取りながら、二人を呼んで来てくれたコリンにひらひらと手を振っておく。

 怪我の事はもう散々言われた後なので軽く流して、追加の鱗も数を数えて纏めておいた。


 それも馬車に置いて戻ってくれば、朝食が出来上がったようでコリンが器を持ってサシャの前で待機している。

 何やらやんややんや言っているのはいつもの事なので特に気にしない。


 二人を眺めながら静かに座って、忘れないうちにと店の在庫一覧に流星鱗を記入していたら器を渡されたので、ノートは汚れない位置に動かして差し出されたそれを受け取った。

 いつも使っている木の器の中には、しっかり煮込まれた具沢山なスープが並々と注がれていた。


「お?なんだか珍しい具が入っているね」

「昨日見つけたフゼの実。食べてみて苦手だったら残して」

「うん。……ん、美味しい」

「なら良かった」


 火傷しないように冷ましながら口に運ぶと、あまり食べた記憶のない独特な風味が口から鼻に抜けていく。けれどそれも嫌な感じではなく、チグサは続けてもう一つフゼの実を口に運んだ。

 一方アンドレイはあまり得意では無いようで、一つ食べて首を傾げている。


「貰おうか」

「……そうだな、美味しく食べれるやつが食べた方がいい」


 自分の器を差し出してそちらにフゼの実を入れて貰い、代わりに肉の欠片をあげておく。

 そうして全員揃っての朝食を食べ終えて後片付けを終えた後は、揃って昼寝をすることにした。

 夜通しの活動と満腹が重なれば、誰も彼も睡魔に耐えることは出来なかったのである。

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