目を覚ますとそこは……
目の前が暗い、頭が弾丸に撃たれているかのようにズキズキする。でも…身体は痛くない。
(……あれ?俺は確か…あいつに刺し殺されたはず…)
顔を上げるとそこは知らない宿屋のような場所だった。俺の目を塞いでいたのは畳の上に敷かれた布団だった。
(…お母さんはどこにいるんだ?)
眠い目を擦りながら横を見ると、もぞもぞと動く布団が一つ。捲ってみるとそこには、俺の母である彼方が寝息をたてていた。彼方は一見小学生にも中学生にも見える背丈と童顔で、その姿を見た飛鳥は、安堵の表情を浮かべた。
数分後、彼方が起きたため状況確認を行っていた。
「私たちは間違いなく刺されたよね?」
「ああ、二人揃って同じ夢を見たっていうのも考えにくいし、それに…」
「……?」
「お母さんが俺を一回だけ庇ったのが幻なわけないしな。」
「大切な息子が危なかったら守るなんて当たり前でしょ?」
彼方は俺の言葉を聞いて照れているのを隠したいのかニッコリ笑っている。うん、端から見れば小学六年生でも通る可愛さだ。こんな母を持てたことを誇りに思う。そんなことを考えていたら身体を揺さぶられた。
「あっちゃん聞いてる~?それとも、なにか変なこと考えてない?」
「いや、考えてないよ。まあ考え事はしてたから半分くらいは聞いてない。で、なんだっけ?」
「これからやるべきことについての確認よ。
まず必要なのは、ここがどこなのかってことの把握とこれからどうするかってことを考える。あと……」
「あと…?」
彼方はいつもより妙に歯切れが悪い。
「見て貰った方がはやいわね…」
そう言うと彼方はシャツを脱ぎだす。
「え、ちょい…」
いくら母親といえ、目の前で女性が服を脱いでいるのは思春期の飛鳥には刺激が強すぎる。
「左腕の肩の近くなんだけど…なんか変な紋章が見えたのよね~」
飛鳥は真面目な顔で彼方の左腕を見る。ワクチンを打つときに針を刺す部分…三角筋の場所に変な紋章が書かれていた。
「なんなんだろう…」
「大丈夫かな?私死んじゃわないかな?あっちゃんのこと置いてきぼりにしちゃわないよね?」
「大丈夫だと思いたいけどなにも分からないからなんともいえないな…」
そんなことを話したあと、まわりになぜかあった自分達の荷物をまとめた。着替え、歯磨きセットなどのお泊まりセットのようなものに加え、お気に入りの本、薬草の本、調理器具一式なんかも置いてあったため、分担してバッグに詰める。バッグを持ち上げてみると妙に軽い。調理器具の重さどころか、着替えの重さもなく、中に歯磨きセットしか入れてないんじゃないかとと思うほど軽かった。バッグの中を念のため確認すると、詰めたものがすべてしっかり入っている。
「母さんのバッグも持つよ。」
「別にいいよ~これくらい私にだってもてるんだから。」
えっへんと効果音が似合いそうなくらいに胸を張っていた。うん、可愛い。小学六年生でも通用するな。
「変なこと考えてない?お母さん怒るよ~」
「いやいや、お母さんが可愛いって思ってただけだよ。」
「それならまぁ、怒れないなぁ~………でも、そうやってお母さんばかり見てて彼女の一人も作らないの、彼方さんは心配だにゃ…心配だな~」
「心配だにゃ………フフフ」
「もう…お母さんをからかわないの!」
結局怒られてしまった。
そんな話をしながら、宿屋?の部屋を出た。
彼方「私、可愛いでしょ~」
飛鳥「ああ、母親じゃなかったら付き合いたいぐらいには可愛い。」
彼方「……//」
飛鳥にデレデレな彼方だった。
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件名 眠い
最後まで閲覧いただき、ありがとうございます。目標は週一と前回話しましたが、来週は忙しいため前倒しで作りました。誤字脱字があると思いますので、指摘よろしくお願いします。あとできれば感想も書いていただけたらモチベーションアップに繋がると思うのでそちらもお願いします。こんなことを書いていたら現在時刻0:58明日も眠気との戦いになりそうです。まあ、楽しいのでいいですけどね。それではまた次回のあとがきで!
猫人