プロローグ
俺こと山澤葵は、山澤家の長男として産まれ、何事もなく成長していった。武術、体術、学問や薬草の知識まで独学で勉強した。しかし、俺が山澤家当主を継いで、山澤飛鳥と名乗り始めたころから事件は起こる。親族が次々に亡くなっていった。父親は蒸発した。残されたのは俺と母親、そして莫大な資産だけだった。母は、資産をあてにしていたらダメ人間になるからと教師として働き続けた。そんな母を心配させないためにいままで以上に努力した。武術と体術は大会に出れば優勝、学問も学年トップと文武両道でただひたすら努力した。もう俺と母しかいない。気を引き締めて日常を送っていった。ある日の晩
「「いただきます。」」
二人揃っての夕食は俺らのルールだ。家庭科の教師である母、彼方の料理はとてもおいしい。
「そういえばあっちゃん、最近不審者が多いけど大丈夫?私心配だわ……」
「お母さん気にしすぎだよ。それに俺も武術や体術を鍛えてるし…」
「あっちゃん、鍛えてても危ないのよ。うちの生徒の学区内でも殺人事件があったし他人事でもないの。私、あっちゃんまで失っちゃったら……うぅ…」
「お母さん大丈夫、俺はお母さんと一緒だよ」
「本当に?」
「うん」
「絶対?」
「当たり前だ。お母さんを一人にするなんて嫌だし、俺を一人にするのも許さない。」
「あっちゃん大好き。」
この夜、悲劇は起きた。