キャラクター
「へぇ、そんな子がいるんだ?」
「はい。どうですか?」
私は家に帰ってからまず、片桐さんに新キャラのネタ提供として茜の事を話してみた。
この人が一体どういうジャンルの小説を書いているのかは知らないが、良いネタ提供になればと思ったからだ。
「んー……。」
片桐さんは少し悩むとメモ帳を取り出し何かを書き始めた。
「うん、良いかもね。」
どうやら採用してくれたらしい。
「因みに、キャラってどうやって考えてるんですか?」
「私は……。そうだな。なんとなくかな。」
なんとなく、とは何なのだろうか。
キャラをそんな簡単に考えて良いのだろうか。
「えっとまず、主人公とかヒロインとか相棒とか物語の主軸になるキャラを考える。その次に話の幅を広げたり物語を面白くするためにライバルとかのキャラを増やしていく。そんな感じかな。」
「じゃあ、名前ってどうやって考えてるんです?」
「まぁ、なんとなく。」
またなんとなくである。
案外そういったものなのだろうか。
「まぁ、人それぞれ違うだろうけど、私は完全にフィーリングだね。ストーリー的に意味のある名前にする場合もあるけど、毎度毎度考えてられないから大体フィーリングになる。」
「……なんか少し残念です。」
正直、もう少し思い入れのあるものだと思っていた。
ちょっとがっかりである。
「……勿論、最初はちゃんと考えてたさ。でも段々とキツくなってきてね。もうフィーリングで決めてたわ。あ、でも日本が舞台だと知り合いの名字使ったり、日本じゃ無くても外人の名前とか一部使ったりするね。」
確かにそうでもしなければネタが尽きてしまうか。
小説を書く上での難しい所はこんな所にもあったのか。
「あぁ、あと人物名メーカーみたいなサイトがあってね。条件を入力したらランダムで名前を生成してくれるサイトとかあるのよ。」
「めっちゃ便利じゃないですか!?」
そんなサイトがあるのなら苦労しないのでは?
そう思ってしまう。
「いや、でもなんかいまいちピンと来ないんだよねー。」
「……いっつもフィーリングで決めてるのにそこは拘るんですね。だから今日の更新出来なかったんですよ。」
「ぐっ!」
なんというか、プライドが高いというか、勿体ない。
そこを拘らなければもっと楽に小説をかけるだろうに。
私は知っている。
筆が進まず、今日の分の更新を怠った事を。
私はしっかり片桐さんのSNSの次話投稿の報告をチェックしているのだ。
仕事もしてないのだから暇なはずなのに、仕事が忙しくて執筆が間に合いませんでした、等と言っていた。
そして、面白いのがその投稿を3人しか見ていない事だ。
本当に人気が無いのが見て分かる。
「……取り敢えず、明日は投稿しましょうね。」
「……はい。」
この人、本当に書籍化を目指しているのだろうか……。
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