ネット小説講座 その1 投稿サイトについて
「まず、小説投稿サイトには大きく分けて2種類あります。」
片桐さんはどこからかホワイトボードを取り出し、図を書いて説明を始めた。
「それは、お金が発生するサイトと、しないサイトです。」
ネットに小説を投稿しただけでお金が発生するのか。
つまり、この人はそれで収入を得ているというわけか。
というかどういう仕組みなのだろうか。
いやそもそも……。
「でも、そんなに稼げる物なんですか?」
「いい質問だね!」
なんだか茶番じみている気がするが、気にしないでおこう。
「その説明をするには、お金が発生する仕組みを知らなければならないので、説明しましょう。」
更にホワイトボードに図を書き足していく。
気になっていた事もついでに聞けたので良かった。
「お金が発生するサイトは3種類、一つは広告収入による収入。次にギフト、投げ銭システムによる収入。そして最後はその両方のシステムを持つサイトね。」
「片桐さんはどれをやってるんです?」
すると、片桐さんは描いた図を全て丸で囲んだ。
「全部です!」
成る程、ある程度人気のある作品を投稿して1000円稼いだとしたら3つのサイトで同時掲載すれば3000円になるというわけか。
利用人数によってかなり変わってくるだろうが、投稿するサイトを増やせば良いのか。
「因みに広告収入ってどういうシステムなんですか?」
「サイトによってバラバラね。1pvが0.1円だったりするけどそこは相場によって変動するわね。」
「1pv?」
すると、思い出したかのように説明した。
「ページビューのことよ。小説を1話読んだら1pvって感じ。」
「因みに、片桐さんはどれくらい稼いでるんですか?」
すると、片桐さんは軽く目を逸らした。
「最高で月に1000円……。」
ということは1万pvは超えたということか。
だが、一つ気になることがある。
「……最高でってことは最近は?」
更に目を逸らす。
「月に50円無い位……。」
「……私バイトしますね。」
これじゃあ、近いうちに必ず限界が来るだろう。
自慢げに稼いでいるとか言っていたが、ほとんど稼げてはいない。
何故保護者が働かず、私が働かなければならないのだろう。
やはり、小説家で生計立てるのは無理だということか。
まぁ、予想はしていたが。
「ま、待って!まだ話は終わってないから!」
「……なんですか?」
「もっと面白い小説が書ければ読者も増えて収益も上がる!だから、頑張ろう!」
片桐さんの発言に思わず溜息が出てしまう。
「……その前に働きましょうよ。」
私はそのまま部屋を出る。
あの人には小説家になるという夢を諦めてもらわなければ、生きていくのも辛いだろう。
私は別に生きて行くつもりも無いが、あんなに良い人は死んでほしくは無い。
なら、夢を諦めて幸せに生きて行って欲しい。
私は、あの人の夢を諦めさせる為にあの人に協力しよう。
どれだけ努力しても無駄なことはあると教えてあげなければ。
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