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親父の実家は幽霊屋敷 後編

「怖ッ!!俺は今日そんな部屋に寝るのか・・・。」


「ああ。一人でな。」


「えぇ・・・一緒に寝てくれよ。頼むよー。」


「一人の方が霊障は起きやすい・・・と思うぞ?」


 下らない会話をしながらも夕飯の準備を進め、しつこく「一緒に寝てくれよー」という篤を無視しなんとか夕飯を作り終える事ができた。


 夕飯を食べた後はクラスの〇〇ちゃんが可愛いだとか、そんな下らない話を篤が話ていたと思う。


 これといって霊障が起きる事もなく、時刻は10時になった。


 最初は一人で風呂に入るのが怖いだのギャーギャー言ってた篤だったけど、特に何も起こらない状況が続いたのでようやく風呂に入る事に決めたらしい。


 尚、俺はもっと先に入りたかったのだが篤が一緒に入るとか言ってきたのでまだ入っていない。



 風呂に篤が入ってる間は茶の間でテレビでも見ながら過ごしてたと思う。急に浴室から篤の悲鳴が聞こえた。


 その悲鳴に驚いていると、篤は風呂上がりの水に濡れた身体のまま茶の間に飛び込んできた。半ばパニックになっている篤を宥める事数分、篤は何が起こったかを説明してくれた。


「急に風呂場の電気が消えたんだ・・・最初は千春がイタズラでもしてんだろうと思ってたんだけど、風呂場の扉ってすりガラスになってるだろ?そこに誰かが顔を押し付けて風呂場を見てたんだ・・・。」


「・・・俺はずっとここに居たぞ?」


「そんなもん分かってるよ。俺が悲鳴をあげたらそいつはスッとどっか行ったから慌てて俺も風呂場から出たんだから。」


 しばしの間、二人の間に沈黙が訪れる。聞こえてくるのはテレビから流れる音だけ。


 そんな沈黙も突然の家の呼び鈴の音で崩れる。


「「うおッ!!」」


 お互い声を出し驚き固まる。時計をみると10時30分を過ぎた頃。こんな時間に誰が家にくるんだ?


 篤は未だ裸の為、俺が玄関まで見る事に。不審者の可能性もある為、玄関の明かりをつけ声を掛ける。


「どちら様ですか?」


 応答はない。すりガラスになっている玄関の向こうには人影がない事から誰も居ないのは明らかだったが、俺にはカギを開けて外に出て確認する勇気はなかった。


「誰も居なかった・・・。」


「マジか・・・。」


「いつまで裸で居るんだよ。とりあえず服着ろよ。」


「脱衣所に全部置いてきた。・・・俺達友達だよな?」


 引き攣った笑顔で俺の肩をがっしり掴んでくる篤に無理矢理脱衣所まで連れていかれ、篤の生着替えを見るという誰得だよ?という事があったが、その後俺が風呂に入ってる時は特に何も起こらなかった。


 風呂から上がると篤はカメラの準備をしていた。


「そろそろ寝るか?」


 時刻はもう午前0時を過ぎたところ。


「俺達、友達だよな?」


 本日2度目の言葉を浴びせられ、嫌々ながらも篤と仏間の隣の部屋に布団を敷いて寝る事になった。


 俺より先に寝るなよ!という篤の言葉を無視し、俺は眠りについた。



「おい!千春!起きろッ!」


 寝ていた俺は篤に激しく揺さぶられて目を覚ました。


「なんだよ・・・今何時?」


「もう7時過ぎてるよ!それより、仏間を見ろよッ!」


 篤に言われて仏間を見る。仏間の襖は全開に開いていた。


 絶対に寝る前は閉まっていたし、家中を施錠したことも寝る前に篤とは確認済みだ。


 俺達以外に家には人が居るはずはないし・・・。


 なんとも言えない雰囲気のまま篤は朝食を食べ、逃げるように自転車に乗って帰って行った。


 まだ朝の8時・・・親が帰ってくるまでどうしようか。篤の背中を見つめながら悩む俺であった。

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