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23.ことの顛末

 ゴードンからオーウェンに説明している場面となりますが、ほぼ最初からライオネル視点で話を書いています。

 分かりにくい書き方で、大変申し訳ございません。


 

 ライオネルがエミリアの任務先に無断で行った経緯。

 それは、自室の執務机に置かれた一通の封筒から始まる。


 封筒には白いカードが一枚入っていた。

 カードには、こう記されている。



 ーーー青い花と悪魔の鳥ーーー



 エミリアの苦しむ顔が脳裏を過ぎる。直感を信じて、まずはライドに報告をした。

 しかし、ライドからは心を落ち着かせるようにと忠告されるだけであり、打開策を見出してはくれなかった。

 エミリアを絶対に失いたくない。その一心で突き動かされていたライオネルは、焦りに心がとらわれて自分を見失っていた。

 事態を好転に導く為にも、冷静に分析し敵の動向を考慮しながら慎重に行動する必要があった。

 落ち着きを取り戻したライオネルは、暗号の様な文面に首謀者の意図する心理を考える。ゆっくりと時間をかけて思考を巡らせていた。


 その矢先、侍女のマーガレットから重要な報告を受ける。

 ロマイクスが宰相のザィードと密談をしていたのである。

 密談の概要は、エミリアに関する虚偽の情報を学園中に拡散すること。ロマイクスがスランダード侯爵御息女サラと婚約することである。


 マーガレットは会話の内容を休憩室で丁度耳にする。しかし、わざと聞こえるように話す侍女達の行動が不可解であると補足した。

 これもザィードが、わざと仕向けたものである。


 虚偽の情報とは、ベル商会とエミリアが違法な売買契約をしている内容であった。ザィードが情報を捏造していた。

 ベル商会は悪質な手口で事業拡大しており、その中でも特に国内では流通していない武器を販売していた。従業員の中にキールッシュ帝国の人間が潜んでおり、背後にはザィードと王妃が深く関与していると報告がされている。

 近々、エミリアが潜入捜査をする予定であると知らされていた。

 エミリアに冤罪をかけて、仕末しようとしていたのだ。高位貴族の賛成意見を獲得する為に虚偽の情報を拡散させたと推測する。


 スランダード侯爵御息女のサラは、父親とエミリアの母親が姉弟である。

 父親のシモンズはスランダード侯爵家に婿入りして、現在は当主として活躍している。

 エミリアの母アリアナとサラの父シモンズは、キールッシュ帝国からロズウェル国の学園に留学している。お互いに、学園で今現在の相手と出会い結婚をしていた。

 出生や経歴を調査するが、帝国や現王妃との繋がりは全くないに等しい。

 やはり、親族であるグランド公爵家を陥れる材料として、サラを利用するに違いないと推測する。


 敵は、材料を集めて工作しながら狙い通りに影を潰し、国王や王太子暗殺の陰謀を企てている。頭の中で、敵の策略を憶測した考えが飛び交う。


 邪魔者は消される。


 毒という文字が脳裏に浮かぶ。


 エミリアは、ライオネルを殺す最終材料でしかない。致死量が高い毒を使うには、まだ早過ぎる。

 また、毒殺となると冤罪はかけ難い。

 敵は、エミリアが自白するように仕向けたい。

 母上と同じ毒を使用するのが、妥当である。


 じわりじわりと精神を蝕み、壊れた所を狙う。まさに()()()にしか出来ない業である。

 再びこの方法で獲物を仕留めるつもりであろうか。罠には二度もかかるつもりはない。


 しかし、能力が高い()()()には自ずと秘策が準備されている。心理戦を得意とする敵の壁は鉄壁である。入念に備えて、立ちはだかる壁をじわじわと壊さなければならない。

 緩やかに侵略し蝕み、最後は朽ち果てる。

 こちらも心理戦を駆使して勝利を掴み取りたい。綿密に策略を練る。


 毒の使用を防ぐのは、容易ではない。

 あれから10年間、毎日欠かさず様々な毒を三人で摂取した。ゆっくりと耐性をつけて、耐毒性体質を身に付けた。

 また、万が一に備えて解毒剤も準備していた。

 毒に無効な我々に、存分に屈辱を味わうと良い。


 エミリアがベル商会に潜入する日に、毒が使用されると予測する。

 その日、見計らっていたかのように、ロマイクスが私の自室を訪れる。彼奴は、ザィードの指示通りに行動を示した。

 ザィードに懐柔されたロマイクスは、可哀想なくらいお粗末であった。自分は、道具でしかないなど知る由もない。



 しかし、予想外な展開が起きる。

 塵の後始末をするかのように、背後から()()()が覗いていた。

 ()()()と目が合う。獲物が居ないと分かり飛び去った。


 ()()()、即ちメレエナーラ王妃が動き出した。



 突然、あの日に見た光景が記憶として一気に蘇る。


 母上が亡くなった日、スカイブルーの青い布地に赤い花の刺繍が施されたドレスを纏い、私の前に立つ若い女性。

 不気味な笑みを浮かべ、獲物を捕らえる様な目付きで、私を見下していた。

 異様な雰囲気に何度も飲み込まれながら、恐怖を必死に耐えた自分が、そこには確かにいた。


 同じドレスを纏い、意味深な発言を残し去って行く王妃。


 抑えていた不安が一気に押し寄せる。

 焦燥感が拭えず、落ち着かない。


 ライオネルは、敵の策略にまんまとはまる。


 任務地のベル商会が所有する事務所兼倉庫に足が勝手に動いていた。 



 正確に投稿日時を決定できるように、執筆を頑張りますので、応援宜しくお願い致します。

 

 

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