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碧空の下で 035
あの日、罵倒のあった日の深夜、ジャスティンは大阪駅に向かった。この時間ならば列車だって動いているだろう。ジェシカとか、ほかの人も後ろにはついてきてくれる。
神戸や明石の町が見えるはずだった。だが、あの日よりも後に破壊された痕跡が飛び込んで来る。焼野原の中を列車は進む。途中から、焼野原や残った家々も気がつくと田畑へと変わってゆき、眠気を覚ますと岡山にいた。岡山についても、駅から倉敷の美観地区や備中高松城が丸見えになるほど市街地は跡形も無くなっていた。無論、あの瀬戸大橋も無くなっていた。
列車はさらに西進する。金光、鴨方、里庄、笠岡とすすむ。まもなく福山である。福山というのはもう広島県の管轄下になる最初の街。その後も尾道に着くはずだった。
だが、北朝鮮のミサイルがこの街に、ジャスティンらが通過した直後(糸崎駅に着いたあたり)に落ちてきた。造船所やら製造業やらを壊滅させたのだろうか。
10キロほどではあるが、あのミサイルによる軽い火傷の症状が腕や足にできたので、次の三原駅で一旦降りて治療に専念しよう。