3.起床、そして洞窟を見つける。
起きたら俺は草原に倒れていた。
多少筋肉質にはなったけれど俺の体はほとんど死ぬ前のまんまで、服装も学ランのままだ。所持品は服以外何にも残っていないけど。
残念、もっと注文をつけておけばよかった。次は美少女に生まれたいだの、スマホは残せだの。もしかしたら、あと一つくらい叶えてくれたかもしれない。世の中ごねた者が結局得をするのだ。
「とりあえず、水と食料だな。」
まだ、この世界がどんなだかさっぱりわからないが、生命に最重要なのはこの2つで間違いないはずだ。
草原をてくてくとあてもなく歩いた。残念ながら俺にサバイバルの知識はなかった。
しかし、草原の空気は美味しい。それに、転生して筋肉が増えた分、体は軽かった。
俺は爽やかな気持ちで生の喜びを感受しながら歩いた。
そのうち川より先に洞窟が見つかった。
「これは何だ?」
獣の住処か?ダンジョン?ゴブリンの家?未開人の家?今は何にもないって線もある。
ともあれ洞窟の中が外より安全というわけはないだろう。それに、中に水源があるとも思えない。
しかし、「洞窟に入る?入らない?」という二択で後者を選ぶようなことは、俺の好奇心が許さなかった。