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2.味気ない転生
気づくと俺は真っ暗な世界にいた。自分の体も知覚できない。
上から声が聞こえてきた。
「汝はこれから転生する。」
澄んだ落ち着いた女の声。
俺は当然世の中の転生モノの物語にも多少造詣が深かったが、まさか現実に自分がそうなるとは思っていなかった。
「そうか。」
俺は落ち着いて答えた。
なんだか、現実感を感じられなかったので驚きもなかった。
「翻訳機能とステータス閲覧機能だけはつけておいてくれないか?」
お約束の品を所望する。
「ステータス閲覧だと?そんなものはないぞ。お前アレだな。ゲームのやりすぎだの。だいたい、我はまだそなたの望みを聞くなどとは言っておらぬ。まあしかし、翻訳機能だけは付けておいてやろう。流石に不便そうだからな。あとは、そうだな、肉体もあっちの一般的な強度に仕上げてやろう。」
残念。あんまりこちらに選択権はないようだ。
「では、次の世界での活躍、期待しているぞ。」
そしてまた俺の意識は途絶えた。