黄色いカーディガンの子と私とワタシたち・・・
学校中から音が消え去っている。
静寂で耳が痛い。
足音がやけに響く。
私のせいでできたバリケードも今では学校名物だ。
そして今回も私は屋上に飛びに来てる。
まぁたぶん今回も先客が居てくだらない理由を言われて飛ぶのは延期だろう。
と、思っていたのに・・・
今回の先客は黄色いカーディガンの女の子だった。
一目でわかったこの子は違う。
それでも私は声をかけずにいられなかった。ホントはどうでもよかったのかもしれない。また思ってもいないことを口走ってしまった。私はなんてお人好しなのだろう。
『ねぇ、やめなよ』
「誰に言ってるの?」
黄色いカーディガンの子は真顔で聞いてきた。
「私たち二人しか屋上にいないんだから、あなた以外ありえないでしょ」
「それもそうね。でもなんとなくワタシにではなく自分自身に言い聞かせるような物言いだったから」
私はカチンときた。三つ編みの子にも似たような風に見透かされた覚えがある。
黄色いカーディガンの子が続けて言った
「ワタシね、飛びに来たんじゃないの」
私は驚いた。今までのパターンと違う。
「なら何しにここに来たんだよ。私は飛びに来た。」
覚悟があるとは言えなかった。なぜか言えなかった。黄色いカーディガンの子に気後れしたのか、はたまた今までの女の子たちを止めてきたせいなのか・・・
「ワタシはね私と私の痣を消し去ってしまうためここに来たの。だからワタシは飛ぶんじゃないの。パソコンのデリートキーを押すようなものなの。そう、ただの消去よ」
だめだ。私にはわかる。この子は今までの子とは違う。私と似てる。それで追い返さなきゃ。じゃないと・・・じゃないと・・・もう・・・ああ・・・あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!・・・・・・
ああ、どうしよう・・・この子は私には止める資格がない。そして多分止められない。
それでも・・・
「今日は私が・・・飛ぶんだ。だから・・・ここからは消えてよ。君を見ていると苦しいんだ。最後位楽に逝かせてよ。」
私は力なさげに言った。
黄色いカーディガンの子は、 「じゃぁ、今日はやめておくよ」
そう言い残して消えてった。この時点で私には
ー死ぬ理由しかなくなったー
=次の日=
今日は学校は休みで静寂に包まれている
先生たちは驚いていたがそんなの気にしない。
雲一つない晴天で絶好の飛行日和だ。
いつも暗い階段も珍しく明るい。
カツカツ音を立てながら階段を上る。
今日は誰もいない。私一人だけ。
誰にも邪魔されない、邪魔してはくれない。
飛ぶ前にワタシたちに感謝しなければ。
ワタシたちのおかげで今日まで生きられたのだから。
扉を開けたとき 黄色いカーディガンをぬいで
フェンスの前で 三つ編みをほどいて
校舎のふちで 背の低い私は、
『『今 か ら と び ま す』』
最後に見えたのは一筋の飛行機雲でした
END
私とワタシたちの物語はどうでしたでしょうか?
ネタ晴らしをしますとワタシたちはすべて私の幻覚であり分身みたいなものです。つまり、私の悩みというのはワタシたちの悩み全てということになります。
要は私とワタシは同一人物です。
ユキ猫の初作品どうでしたでしょうか?次回からはオリジナルを書く予定です。(プロローグは上げてます)ではまた次回機会があればどこかでお会いしましょうBYBY
http://ncode.syosetu.com/n1418ed/