表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私と3日間  作者: 雪乃猫
3/4

背の低い女の子

音楽室からだろうか?歌が流れてくる

前回は放課後目前だから人がいたと推測し、午前中の授業を抜け出してきた。

そういえば学校では屋上のカギが盗まれたと少し騒ぎになっていた。そのせいか、扉の前には物々しいバリケードが作られてる。

まぁ私には関係のないことだ。それにしても窓のない暗い階段にバリケードとはなんとも怪しげだ。

そのバリケードを無理やり撤去して私は屋上に入る。

フェンスの前で靴を脱ごうとする。そのとき私は見てしまった。自分の斜め後ろで同じように靴を脱ぎ掛けてるー背の低い女の子をー


『『あっ、』』


またか。口には出さなかったが心のなかで確実につぶやいた。

背の低い女の子はなぜかびくびくしている。飛ぶ前は皆三つ編みの子のように肝が据わるわけではないみたいだ。ここは先手必勝と私から声をかけた


「その様子だとアナタも飛びに来たの?私も飛びに来たの。だからさ、今日は帰ってくんない?一人で逝きたいの。」


「そ、その、ね、願いはワタシは聞けません。なぜならワタシはそれなりな覚悟を持って今日は来たんです!」


覚悟とかなんか、三つ編みの子と同じようなこと言い出したぞこの背の低い子。それにしても背は小さくても度胸は大きいと来たか、なんかいじめられそうな体質だな。と、私は思った。


「私だって今日こそ飛ぼうとそれなりな覚悟を持って来たよ」


自分で流れを着くっておいてアレだが、やばいこの流れはアレだ。飛ぶ理由を語って相手を納得させて帰らせるやつだ。この背の低い子も三つ編みの子と同じくくだらない理由だったら突き落としてやろう。と、心の隅で私は謎の決心をした。

ここで背の低い子がつぶやいた。


「ワタシには・・・もう、居場所がないんです・・・」


「・・・え、」


「アナタにわかりますか。無視されて、自分の居場所が奪われて、どこにも居れなくなったワタシの気持ちが」


やばい、これは実にやばい。言葉は少ないが明確に解った。この子はいじめられてる。

三つ編みの子と違いかなりヘビーだ。それでも・・・それでも私はこの背の低い子を追い返さなきゃいけないんだ。追い返せなきゃ今現在の私自身の飛ぶ理由が揺らいでしまう。

追い詰められた私は、三つ編みの子の時と同じことを言おうと決めた


「ふ、ふざけんな!!」


三つ編みの子は、かなり驚いていた。そりゃそうだろう。一発KOなみのパンチを当てたと思ったら、突然相手が反撃してきたのだから。

私は優しくそれでも、口調は強く続ける。


「それでもアンタは家では優しくされてるんでしょ。温かいご飯もあるんでしょ!?ならそんなことくらいで私の先を越そうだなんて、許さない!!」


「ワタシは・・・」


「もう一回頑張れよ。私の知ってる奴は話したら楽になったって帰ってたぞ。」


背の低い女の子は少しうつむきがちに、ワタシおなかがすいた。と、言い階段の暗闇に消えていった。・・・

(キーンコーンカーンコーン)

3時間目終了の鐘が鳴った。私もおなかがすいてきた。

「飛ぶのはまた今度にするか。」

独り言を言い私は教室に戻ろうとした


グラウンドには遊びに来た男子生徒がいた。廊下からは生徒の声が聞こえてきた。暗闇溶ける寸前無限に広がるかのように思える空に一本の飛行機雲が見えた。闇に溶けながら次こそ飛べるといいなと、私は心にもないことをつぶやいた。


















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ