第11話 出立前の魔法講議
お待たせしました。
最低、月一でも投稿しようと思います。
冒険者パーティ『灼熱の刃』と共に行動を始めて8日。
この村は何事もなく皆も普段通り生活をしていた。
しかし、周りの村も同じだったかというとそうでもない。既に村が2つもゴブリンの手によって壊滅させられた。
グレンたちの話では、ゴブリンロードもしくはゴブリンキングといったゴブリンの最上位種が産まれている可能性があるらしい。
そして今日も、少しでもゴブリンを減らすためグレンたち『灼熱の刃』と共に行動を・・・
「おい、リュウト。町へ行くぞ」
「はい?急にどうしたんですか師匠?」
「ここ最近、この村でもゴブリンの発見が多くなって来とるのは、お主がよく知っているはずじゃ」
「ええ、だからこれからグレンたちと調査に向かおうとしてたところで・・・」
「グレンたちならすこし気になる場所があるらしく他の冒険者に村周辺の調査を任せて朝早くにどこかへ行ったぞ?お主にはすまんと言っておったぞ?」
「え~~」
「ま、それでな?ゴブリンがやたら多くなってきたので、村を封鎖して守りを固めようという話になってな?・・・って、どうしたんじゃ?」
「おいて行かれた・・・」
いままで一緒に行動してきて何も言われずに置いてけぼりにされた俺は、ちょっとショックで落ち込んだ。
その様子を見て師匠は、あきれつつどうしようかといった感じで俺を見た。
「おお!そうじゃ!」
師匠はいいことを思いついたと言わんばかりに手をたたいた。
「どうしたんです?師匠?」
「そういえば、お主は魔法触媒をまだ持っておらんかったな?」
「??なんです?その魔法触媒って?」
俺は、魔法触媒と聞いて真っ先に思ったのは師匠が持っている杖だったが、分からないことが多いので聞いてみた。
「お主があまりにも自然に魔法を使ってるため、わしもすっかり忘れていたんじゃが、魔法使いが魔法を行使するときに必要なものがあるんじゃ。それが、この杖であったり指輪であったりといった魔法触媒じゃ」
「ということは、普通ならその魔法触媒がないと魔法が使えないってことですか?」
「いや、そんな事はない」
あれ??
「でもさっき・・・」
「言い方が悪かったか・・・正確に言えば魔法を使いやすくするためのが魔法触媒じゃ。普通なら安価の杖などを与え魔法の使い方を覚えさせるんじゃが・・・忘れておったわ!ハハハハハ!」
「いや、ハハハハハじゃないでしょ・・・」
正直、俺の時間を返せと思った。
「いやいや、そんな目でわしを見る出ない。それに、どのみちいつかは身につける必要があったしの。お主は知らんかもしれんが、この世界にはダンジョンと呼ばれる迷宮がある。その中には、魔法触媒の機能を無効化するものもあれば、魔法自体が使いずらいものもある」
やっぱり迷宮もあるのか・・・
「でも、それなら魔法触媒なんてなくてもいいような・・・」
そう言った俺にそんなことはないぞ、あるときとない時の差を教えてやると言って、いつもの場所に向かった。
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「では、今から魔法触媒がある時とない時の魔法の威力の差を見せる。そこの木を見ておれ。」
そう言って指さしたのは、いつも俺が修行の休憩に使っている木だった。
「え?勝手にそんなことしていいんですか?」
「いや、普通はいかんがこの木はどのみち切る予定じゃからの。ちゃんと許可もとっておるし大丈夫じゃ」
それならと、少し残念に思いながらも納得した。
「町にも行かんとならんからさっそくするぞ?」
そう言って、杖を地面に刺し手放して魔法を唱え始めた。
「『水よ。礫と成りて我が敵を打ちのめせ。』《ウォーター・バレット》!」
師匠が唱えた魔法は的である木にあたり幹を抉った。
しかし、俺は今の魔法の詠唱が俺が教えてもらったものと違っていたことに気づいた。
「師匠。今、詠唱が違いませんでした?」
「ん?ああ!そうか、言っとらんかったか。実は、勘違いをしている奴らが多いが詠唱とは魔法使いのイメージを固めるためのもので、イメージに近ければなんでもいいんじゃよ。」
「え!?」
「だからと言って詠唱を疎かにしてはいかんぞ?詠唱によって魔法の威力を上げることができるからの。まぁ、『詠唱破棄』のスキルを持っていれば別だがの」
(ごめんなさい。そのスキルおとといの晩に取得しました・・・)
とは、言えない・・・
「ん?どうしたのかの?」
「いえいえ、そんなこともできたんだなーって・・・」
「まぁ、今はよい。次は魔法触媒である杖を使ってもう一度同じ魔法を同じ魔力で放つ。しっかり見ておれ。『水よ。礫と成りて・・・」
そう言って再び魔法を詠唱し始めた。確かに師匠の言った通り先ほどと全く同じ量の魔力が使われているのが見える。しかし、先ほどと違ってその魔力は杖へと流れていき・・・
「《ウォーター・バレット》!」
放たれた魔法は、的の幹を完全に打ち砕き木を倒してしまった。
「すっげ・・・」
「どうじゃ?これで分かったじゃろ?魔法触媒の有用性を・・・な、なんじゃその目は!こ、この杖はやれんぞ!?」
「ええ~」
「ええ~ではない!町に行ったらお主に合うやつを買ってやるからの。これは、やれん!」
「マジすか!さ!いきましょ!すぐに行きましょ!」
「ま、まじすか??なんじゃ、それは?って、おい!押すでない!」
こうして、俺と師匠はこの村に近い町である『辺境の都市<グレートウィル>』に向かうのだった。
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