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【後日譚】七不思議の行方

 しもやんから連絡が来て駆けつけたけれど、オレらは間に合わなかった。まぐっちゃんの親父さんの話によると、命が助かっても半身不随になっていたのは確実らしくって、だから本人にとってはこっちの方が楽だったのかも、とのこと。

 ただ、悪いニュースだけでもなかった。しばらく音信普通だった千葉と、ずっと行方がわからなかっただいちゃんと、この病院でその二人と再会できたから。千葉は二年も寝たきりだったらしいんだけど、オレらが千葉母を見つけて声をかけたちょうどそんなタイミングで目を覚ましたとか、だいちゃんなんてずっと一人でリハビリ頑張っていて、それで今日ようやく立てるようになったとか、ついでにしもやんのプロポーズにあっきゅんがOKしたとか、もう、びっくりするくらいいろんなタイミングが重なって、オレらは悲しんでいいのか、喜んでいいのかわからず、ただただ涙を流していた。

 病院からの帰り道、ミレちゃんがあっきゅん宅で女子トークするというので、オレは病み上がりのヒロツグと二人で飯を食って帰ることになった。二人だけになると、あの場で誰もが口にしなかった単語が、どちらからともなく出てきた。それは「身代わり」という単語。

「どう思う?」

「やっぱり……だよなぁ?」

 そしてしばらくの無言。だいちゃんがあんな状態になったのは、千葉や間口だけじゃない。丸浜を初めとしたクラス全員の責任だ。ああやって事故に遭うのが、例えば学級委員だったオレだったとしても全くおかしくはない。それに主犯格だった二人の決定的な差。千葉は生還し、まぐっちゃんは連れて行かれた。その大きな差は何だったんだろう。

「子どもに呼ばれたのだな。一方はこの世から、もう一方はあの世から」

「え、じゃあ、学生時代のまぐっちゃんのあの噂、本当だったんだ?」

「おいおい、ヒロツグ。なんでオレに聞くんだよ」

「だって今……子どもに呼ばれたってムラっち……あれ? 違うか。なんだ、教えてくれたの、みどりのおじさんか」

 そう言い出したヒロツグ自身が、むちゃくちゃ驚いた顔をしていた。

「あれ、言えてる」

 そう。それ以来、オレたちが「みどりのおじさん」の話をしようとして、唇をつままれることはなくなったんだ。エノが教えてくれた七不思議板ってやつも、まぐっちゃんの事故以来書き込みが七割がた減って、もしかしたらまぐっちゃんが副アカで自作自演だったのかも、とかいうオレにはよくわからない考察をしていたっけ。

 そうそう。退院した千葉は、入院中ずっと見舞いに来てくれていた女性とちゃんと籍を入れ、あいつの実の娘であるまほちゃんと今は一緒に暮らしている。だいちゃんも本当に驚くくらい良くなって、千葉と二人で看護士になるべく勉強をしているとのこと。ただ「きんじろうさん」に持っていかれたランドセルだけは、本当に見つからないまま。そして、「しのあみだくじ」では相変わらず事故が起きている。

 ミレちゃんが印象深いこと言ってたなぁ。最初は冗談とか芝居とかだったとしても、そういう負のイメージは雪だるまみたいに周囲の負の感情を取り込んで、やがてホンモノのナニカになってしまうこともあるんだって。だからオレは七不思議板にこっそり書き込んでみた。「がっきゅうぶらんこ」で首を吊った教師は死んだらしい、って。アナちゃん、オレの初恋だったんだぞ、クソ。

 

 

 

(終)


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