第五話:倉庫にて
書きながら思うのですが、あらすじ通りに話が進むのかナ?なんだか違う方向に話が進んでいるような…
隈元朋征…侑人の学校の生徒会副会長。生徒会長の川野をあらゆる面からもサポートする。頭も良く、特に英語が優秀で、イギリスで行われた弁論大会に参加し、(勿論英語で発表)見事銅賞を獲るほどの能力がある。…しかし、それは表の顔であった。
今、隈元の目の前には侑人がいた。侑人は頭から血を流していた。
「連れていけ」
隈元がそう言うと何処からともなく男が現れ、侑人を車のトランクに載せ、隈元と共に走り去っていった。
「うーん…」
侑人は目が覚めた。目を開けると、自分が棺のような入れ物に入れられていることに気付いた。しかも、棺は普通とは違った。棺の内側には、底面以外無数の棘に覆われていた。これでは起き上がろうとすると、棘が侑人に刺さってしまう。
「おやおや目が覚めたかな侑人君。」
隈元はいつもの甘ったるい声でそう言うと、
「ここはどこだ?腐れ副会長。」
と侑人は聞いた。
「おやおや、侑人君の口からこんな言葉が出るなんて意外ですねぇ。」隈元は明らかに侑人をナメている。隈元はさらに続けた。
「ここは港の倉庫。助けを呼んでも無駄ですよ。助けが来る前にあなたを殺しますんで。」
確かに、ここから逃げるのは無理だと侑人は思った。しかし何故隈元は自分を殺そうとしているのだろう?
「何故僕を殺そうとするのかなぁ?なんか悪いことした?」
侑人はかなり穏やかな口調で聞いた。
「何ですか?命乞いですか?さっきと態度が違いますね。僕があなたの命を狙う理由。それは、あなたが隣のクラスの友希弥さんのことが好きだからです。友希弥さんは僕の物です。それをあなたのような底辺の人間に奪われて堪りますか?あなたの存在が邪魔です。だから消えてもらいます。」
こいつイカれてる、と侑人は思った。好きな女の子が一緒だから、しかもまだ付き合ってもいない子が奪われたら嫌だと言う理由で人をこんな目に遭わせるなんて頭がおかしい。
「言い残すことはありませんか?侑人君。友希弥さんへの愛のメッセージでも構いませんよ。ククク」
隈元は棺の上に重りを乗せ始めた。蓋が潰れれば中に入っている侑人に棘が刺さって―――
「あぁ、一つだけ。あんたバカじゃないの?」
侑人はそう言うと、棺の横の面を突き破り外に出てきた。
「実はあんたの長話の時に棺の横の面の棘を抜いておいたのさ。意外とチャチな造りだったよ。棘は少し引っ張るだけで抜けるし、棺はすぐ壊れるし、隈元君、これってなんかの冗談だったの?こんなショボい棺の中に幼稚園児並みの嫉妬が原因で閉じ込めるなんて笑っちゃうね。アハハハ」
隈元は顔を真っ赤にして怒りに震えていた。
「おい、飛堂、あいつ捕まえろ!」
隈元がそう言うと、飛堂と呼ばれた男が現れ侑人を追いかけた。両手には拳銃とマシンガンを持っている。
「待たんかい!待たんとお前を蜂の巣にしてやる。」それでも侑人は逃げ続けた。その時、パァーンと銃声がして、侑人はうつ伏せに倒れた。我慢できなくなった飛堂が侑人の背中目掛けて発砲したのだ。銃弾は侑人の背中の左側に当たっていた。
「心臓まで貫通したか…?」
侑人はピクリとも動かなかった。
「どうします?朋征さん」飛堂が聞いた。
「放っておけ。それよりも早く逃げるぞ。」
隈元はそう言うと飛堂と共に走り去っていった。
「これで友希弥ちゃんが自分の物に…ククク」
今回は襲われて倉庫に連れていかれると言うベタな話でしたね。次回侑人はどうなるのか?次回をお楽しみに!あ、感想&評価も宜しくお願いします。