12月20日③
京と陽路は特に言葉も交わすことなく、帰宅した。
京はその後ぱっぱと着替えて陽路の家へ。
*
「…で、今日はどんなのかな?」
陽路が淹れてくれたジャスミンティーを一口飲み、京は言った。
陽路は黙って、包帯のようなものにくるまれた大きな棒状の物を出した。
「これは?」
「…僕の、最高傑作だよ。京にぃちゃんのために作ったんだ。」
「へぇ、どうやって使うんだい?中身を見せてよ。」
「もちろん。あ、せっかくだし京にぃちゃん開けてみなよ。」
「うん。」
京は少し緊張しながら包帯のようなものを解いた。
「…杖?」
そこから出てきたのは、先端に瞳が紫に輝く眼球が一つはめ込まれた、いかにも怪しげな杖だった。
「その通り。」
「こ、この眼球は何なんだ?とても生き生きとしているんだけど…」
「ああ、それは僕の魔術書で作った京にぃちゃんのクローンの眼球。作るのがうまくいかなくって、全てそのまま捨てるのは勿体無いと思って、はく製にした後眼球だけ抉らせてもらったんだ。」
「なんて物騒なことしてるんだ…。ていうか、めっちゃこっち見てるよ!?これはく製だよね!?」
「いやいや、それは京にぃちゃんの魔力の影響だよ。」
「あ、な、なるほど、なるほどね。なんかよくわかんないけど何となく理解したよ、うん。」
「今京にぃちゃん、7回”な”って言ったね」
「あ、うん。」
京のクローンの眼球は、どこか楽しげに輝いていた。