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12月19日④
*
「コントロール…ね。」
京は思った。あのときコントロール出来なかったのなら、何故今は普通に使いこなせているのだろう。
…小さな頃から魔術を使っていた人たちと同じように。
「京く~ん」
一階から聞こえる幸の声が、京を我に返らせた。
「晩ご飯できたから、下りておいで~。」
「はーい。」
京は一階へ下り、リビングに行った。
リビングには、優しく、甘い香りが立ち込めていた。
「今日はシチューでーす♪アタシ、頑張っちゃった」
「わぁ、凄い美味しそう。兄ちゃん、今日何かいいことでもあったの?」
「あらっ、流石京くん。実はそうなのよぉ~。ささっ、座って座って。」
「うん。」
京は、椅子に腰掛けた。目の前に、バターロールパンと、牛乳、そしてホワイトシチューが置かれる。
幸も腰掛け、ふたり揃って「「いただきまーす」」と言い、食事を始めたのだった。