糺の森
ほの暗い闇が広がる夜だった。コートを染みとおってくる寒気に震えた。全身を締め付けるような寒さだ。今日は一段と冷え込んでいる。靴下とズボンの隙間を固い冬の風が足元を嬲って通り過ぎていった。
「全くせっかくの日曜なのによ。」そんなことを思いながら、ペダルを漕ぐ速度を上げる。
ようやく森の手前の中州へ着いた。
なぜこんな思いをしながらもここへ来るのか。
それはこの場所に自分を惹き付けてやまない何かがあるからである。
誰だか分からないが、その誰かに呼ばれている気がしていた。
ただ、その思いは静かにそして確かに自分の体内に確実に流れているのを明らかに
感じてはいるのだった。
高校時代からずっと続いていることである。