伝えたいひと、2
はじめて、
好きかもしれないひとに下の名前で呼んでもらえた喜び。
たとえそれが、
私のペンネームなんだと勘違いされていたんだとしても
それでも
私はすごく嬉しい
本当に嬉しい。
嬉しすぎて現実をみたくなくて、
どんな言葉も頭に入ってこなくなってしまう。
そんな気持ちがあなたにわかってもらえるだろうか。
きっとわからないだろう。
どんなにわたしが
狂おしいほど伝えたい想いがあって
伝えたいひとがいて
それでも、きっとあなたにはどんなに頑張っても届かない
だって届かないもの
あなたは、私の思いの丈を受けとる前にプロテクトしている
わたしからの想いを受けとるまいと両手を前に突き出して
そんなあなたに伝わるわけない
ねえ、あなた
こっちを向いて
もっとわたしを見て
私の目をじっと見つめて
そしたらきっと
なにかわかるはず
つたえたいことがきっと
何かしら見えるはず
ねえ、あなた
こっちを見て
こっちを見て
私を見て
私を好きになって…
ついに私は我慢の限界に立ち、
いつまでたっても振り向いてくれない君の肩を
他の誰かに夢中になって振り向いてくれない君の肩を
この溢れそうな想いを抑え込んで飽和しそうな私の左手に託して
いま、ひっつかむ
ふいに驚き振り返る君の瞳
そこめがけて私は想いを投げたくなる
一生懸命押さえて押さえて
君のあごを軽く持ち
勢い任せてわたしは
わたしは
ついに唇を奪ってしまう。
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そんな夢を見た