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迷路創作とスライム

いざ『迷宮創作』で迷宮を作ってみると、あっけない程サクサク作ることができた。

と言っても罠の類は設置していないが。

『迷宮創作』を発動すると画面が出てきて、右から中央までかけてマップが表示されていて、なぞって切り取るように部屋や通路を作るようになっている。

左側にはリストがあり、部屋や通路の材質や罠、その他良く分からない設置物が並んでいる。

池とか沼、林に森、空や天候までリストアッブされていて、さながら自然系の設置物と言ったところだ。

その他には、作った部屋や通路の調整や装飾品などがある。

まぁそれらも今は一つしか設置して無いけどな。

今の所作ったのは、初めの部屋から短い通路を通って王様がいそうな所見の間の様な作りの部屋がある。

この部屋には玉座があって、玉座に座って左後ろに初めの部屋に続く通路があって、真正面には三段ある段差を降りて少し歩くと巨大な扉にたどり着ける。


まぁ今はPが勿体無いから飾りとか絨毯とか無いけど、余裕が出たら揃えようと思うよ。

だってこの迷宮のボスだしね〜。威圧感ちょっとでもだしたいじゃん?見栄的なね。

ここまで来た侵入者を撃退するために、戦闘できるだけの広さは取ってある。

戦いたくないけどね!

大体平和な日本にいて行き成り命のやり取りなんて出来る訳無くね?

まぁ今は考えるのはよそう。


巨大な扉の先は広めの通路があって、そこを抜けると所見の間よりも広い正方形の大部屋がある。

壁や床、天井は黒みがかった石の壁で出来ている。

この部屋は扉を守る守護者的なのを配置しようと思ってる。

まぁスライムだけどな!

その先は通路があって中部屋に繋がり、そこから先は通路と小部屋、中部屋が迷路の様に絡み合って存在している。

決して構造を考えるのが面倒くさくなったのではない。....ホントだよ?

がしかし、そこまでやって気づいた事がある。

どこに向かって作ればいいのか分からないという事だ。

と、言う事で一旦作るのは辞めだ。....面倒くさくなって無いよ?



俺は今、所見の間の玉座に座って今までの事を纏めている。

まず、俺は死んだ。

これは最早確定だろう。

何せ事故った時の記憶もあるしな。

まだ死にたい訳では無かったが自分の不注意だ、しょうがないだろう。

そして死んだと言う事はもう戻れることもないんだろう。

向こうの世界に未練が無いわけでは無いが、これも最早どうにもならない。

それよりも、新しく貰った魔王生に感謝すべきだ。

まだ生きられるんだからな。

何とも不安定な命だけど....。

スライムだし....。

第一この世界がどんなものか分からないのに、スライムが命綱の様なこの状況は非常にマズイのではなかろうか?

所謂ファンタジーな世界では最弱に位置するスライムが、俗に言う冒険者の様な立場の人達の相手が出来るのだろうか?

答えは否だろう。

まぁ、そんな冒険者の様な人達がいるか分からないし、実力も不明だ。

スライム共々な。

考えるにしてはこの世界の知識が圧倒的に足りない。

少なくとも後1ヶ月はわからないままだ。

考える事はまだまだあるが今は出来ることをやるしかないだろうな。

と言う訳ではスライム出してみるか。

出したくねぇけどな!


早速『魔物創作』を発動した。

すると画面が現れ、創作可能な魔物を表示した。

一種類しかいない上にスライムだがな。

画面のスライムにタッチして、確認画面のYesにタッチする。

すると玉座の近く、段差を降りた辺りに複雑な模様....最早子供の落書きの様な不規則な線が絡み合った円形の何かが現れてクルクル回っている。

と行き成り眩い光が円形の何かから発せられて、反射的に目を閉じてしまった。

....しばらくして光が収まり、チカチカする目をほぐしていると見慣れない物体が....いや見慣れないけども....。

ちょっと想像と違うよ?顔もないしさ、頭?もとんがってないよ?

でもさ、誰が見てもこれは分かるんじゃないかな?

そこには、水色な流線型なボディ、風もないのにプルプルと揺れている憎めない奴が佇んでいた。

そう、我らがスライムだ。

そう!皆から愛され絶大な知名度を誇るスライムだ!

俺の目の前にはそんなスライムが一匹、ポヨンといる。

................自暴自棄になりそうだ............。

余りにもシンプル!余りにも頼りない!

こんなんでダンジョン守るとか無理だろ!

ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


取り乱してないよ?大丈夫。

俺はクールだ、大丈夫。

だがしかし、こいつは俺にこの先の絶望を突き付けてくる。

ポヨンポヨンしてるだけでこんなにも絶望感に苛まれるとは....。

恐るべきスライムだな。

こいつはきっと俺を苛めるスキルをもっているんだろう。

出なきゃこんなにも絶望感に襲われる訳が無い。

てかこいつにもステータスあんのかな?


そんな事を考えてぼんやりスライムを眺めていると、半透明な画面が突然現れた。


Name:

Race:ダンジョンスライム

Level:1


Skill:《粘性体》《溶解》《再生》


........

............なんでステータスでた?

あっ今はそこじゃねーや。

ダンジョンスライムはここがダンジョンだからだよな?

うん、不思議じゃないよね。

スキルの粘性体て何?

溶解は溶かすとかそんなんだろ?

再生はちぎれてもくっつくとか?そんな感じだよね?

それらはまぁ特殊な能力って言えばそうだろうよ。

けど粘性体って見たまんまじゃね?

何でスキルにあんの?

誰か教えて!

粘性体ってなんずら!


すると突然画面が切り替わり再び文字が浮かび上がる。


《粘性体》物理攻撃無効、半液状化

《溶解》溶かす

《再生》治る


おい、待て。

粘性体だけしっかりしてんのに他なんだよ!

溶かす、治るってアバウト過ぎんだろ!

何を溶かして、何を治すんだよ!

教える気ねーだろ。

てかこんな表示あるなら教えとけよ。

不親切もいいとこだな!

いや、そこじゃない。

粘性体の物理攻撃無効ってスライム有るまじきすきるだな。

嬉しいよ?何か強そうで嬉しいけどいいの?スライムなんだよ?

まぁ魔法で倒すのがこの世界でのスライムなのかもしれんが....。

大体どうやってこいつのステータス出したのかわかんねぇよ。


すると画面が切り替わり、再びステータスが表示された。

....なるほど。

対象を見てステータスって念じればいいのか。

それにしてもあの時ぼんやりステータスの事考えなかったら見つけれないだろ。

なんだこの不親切差は。

俺だけか?俺だけなのか?

あなたはスライムだし期待してないから、教えるのも面倒的な?

そうなのか?俺のせいか?

落ち着け俺の思考よ。

ヤケになっちゃいかんよ。

そもそもチュートリアルでもスキルとかアバウトな感じじゃないか。

なんだ知識とか経験って。

どんなスキルがあるか分からないのに知識も経験もないだろうに。

剣素振りしてたら、剣術スキルでも出るのか?

....出そうだな。

いや、実際に倒さなきゃ出ないかもしれないな。

だけどそれだと魔法は覚えられないことになるな。

あ、そこで知識の出番な訳?

やっぱ異世界って言ったら魔法だよね!

まぁ外に出れない事には始まらないけど。

あれ?でも、知識だけで魔法覚えれたらこの世界の人皆使えるよね?

何か条件あるのかな?....あるよなそりゃ。

まぁ今は置いておくか。

あんな説明じゃ分かるものも分かんないしな。

それに、魔王の特徴だって........。


そっと自分のステータスを表示してみた。


Name:橘 弥生

Race:スライムの王

Level:1

P:9074


skill:《迷路創作》《魔物創作》《奴属化》《粘性体》《溶解》《再生》


待て待て待て!

スライムの王!?

えっ?スライムの王?

キングスライムな感じなの?

魔王じゃないじゃん!

いや、スライムも魔物だろうから魔物の王で魔王だけども。

でもなんか違うじゃん?

スライムの王ってどこまで行っても弱そうじゃん?

それにスキル!

最早ダンジョン作れるスライムじゃん!

いや、不思議じゃないよ?スライムの王だからね。

でも釈然としないじゃん?

魔王でも人間と変わらないって所が、ここに来て一気に魔物っぽく進化したよ。

しかもスライムに....。

これが特徴なのか。

見た目に全く変化無いけどな。

でも何かテンション下がっちゃうよね。

いよいよもって中身が人間辞め始めたからね。

人間じゃなくてもいいじゃんとか言ってた少し前の自分を殴りたいよ。

........散歩しよ。


そんな訳で、今はスライムを伴って迷路の中を散歩している。

周りは黒みがかった石で出来ている通路だ。

迷路の中の部屋や通路も、全部この石で覆っている。

因みに所見の間もね。

それからスライムは、歩いてたら後ろから付いてきた。

なんか可愛く見えるよ。

ポヨンポヨン揺れながら後ろついてくるからね。

....どうやって進んでんの?

まぁ、いいか。

そんな可愛げのあるスライムの事を考えながら俺とスライムは今、通路を歩いて中部屋に向かっている。

マップあるから迷わないけど無いとヤバイなこれは。

入り組み過ぎてて、何でこんな事にしたのか自分でもわからない。

適当って怖いな。

そろそろ中部屋に着くし、中に入ったら引き返そう。

期間も一ヶ月しかない。

その間にダンジョンを完成させて、スライムも増やす。

突破されない様に罠も配置しないとな。

出来れば俺のいる所見の間まで来れないように。

スライムとはなんとも頼りないが、やるしかないんだよな〜。

でないと待っているのは死だ。

折角生き返ったのに呆気なく死ぬんじゃ何とも味気ないじゃないか。

だったら一ヶ月と言う期間で出来る限り複雑で致死率の高いダンジョンを作るしかない。

スライムがどこまで役に立つか分からないが居ないよりましだ。

Pが無くなる限界まで作って増やす事にしよう。

自分が死なないために....。

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