神様からの手紙
ひとまず神様からの手紙を見てみる。
一枚目はただのメッセージ、二枚目はあの連絡用の物、あと三枚残っている。
なので上から順番に調べる。
一枚目には《能力》と書かれていた。
その冒頭には『ここに書かれている数値は一般人を1としたもの、なお一般的な低級の魔族は10程度の、中堅ならば30程度の能力を有する。』とあった。
これはなかなかに有益だが同時に恐ろしい話でもある。
なぜなら低ランクな魔族は一般人の十倍程度の強さしかないことになる。
十倍、といえば聞こえはいいかもしれないが、俺からしてみればそれは一般市民が十人集まれば同程度の戦力になってしまうということになる。つまりそこらへんの兵隊と戦わせたとしても敗北してしまう可能性が高いということになる。
そして、残念なことに低級というものはどうしても多くなる。
というのも誰にでも駆け出しの期間というものがあるため、そして魔族はどうかわからないが人間はある程度までのレベルまでくるとそこで満足してしまう傾向にある。どこまでが低級なのかわからないので憶測で考えをまとめるが。
俺は元々物事を悪く考える癖があるが、これはこれで最悪の場合を想定して動いているわけだからいざという時に助かっている。なので今回もその最悪のパターンを想定している。
人間の兵士に至っては、そんな妥協許されないだろうから中堅が多いと仮定して……俺や上級魔族が超頑張らなきゃという考えに至った。
いや、上級だとそれを鼻にかけて『なんで雑魚を守る必要がー』とか言ってきそうだし俺が死ぬほど頑張らなきゃいけないんだろうな……。
気を撮りなをして能力とやらを確認。
筋力:500
……いきなり加減を知らない数値が出てきた。
一般市民の五百倍とかチートもいいところだ。これだけで世界と渡り合えそうだよ。
魔力:700
さらに上を行く数値がきちゃったよ、というかまほうが使えるのかよ、ワクテカが止まらないじゃないか。
妄想力:EX
何これあの馬鹿神喧嘩売ってるの?なにエクストラって。
生命力:∞
あーそういえば俺不老不死だっけか。
体力:∞
これはチートだな、一般人の五百倍の筋力で永遠に暴れられるということじゃないか。
素早さ:500
無限とかエクストラに続くとえらく見劣りしてしまう……なんというインフレ。
魅力:プライスレス
あの神が俺に喧嘩売っているということはよーくわかった。
これらを見てわかったこと、俺チートの塊だわ。
と思ったが、まだまだこれで終わりではなかった。
裏面があった。そこには《特殊能力》と書かれていた。
冒頭には『魔族が有する特殊な能力、ごくまれにハーフや隔世遺伝で能力を手に入れた人間もいる。
一般的なものならば特定の属性魔法を強化するものや、自分の肉体を変化させるものなど。』
つまり俺にはこの特殊能力がああるわけだが……多い。
裡面にびっしりとその名称と効果、使い方が書かれている。
まず肉体変化、効果は自分の肉体を好きなように変化させられる、使い方は体を虚カス用にすればいいと書かれている。アバウトすぎるがひとまず右手を変化させてみる。
特に何か念じることもなく右手を刃物のように作り替えることができた。なんというか指を揃えて手刀のようにしたらそのまま文字通りの意味で手刀になった。
次に物質創造、効果は物質ならなんでも作り出せる、方法は物質の形やどんなものか、そして性質などを明確に想像して頭の中で念じるというもの。誰がどう見てもチートです。
それからずらっと書かれたものの中には『魔法吸収』だったり『騎乗スキル』だったり『回復魔法適正』だったりいろいろチートすぎる能力が並んでいた。
効果をまとまて言うならば、肉体を自由自在に変化させられて、大体のものを作り出せて、敵意ある魔法を吸収して魔力回復できて、馬なり乗り物内は大体乗りこなせて、回復魔法が使えて、一時間寝れば魔力も状態異常も全快して、睡眠薬とかまひどくとか一切効かなくって、人とか殺しても罪悪感わかなくて、やろうと思えば相手のステータスを数値化できて、必要に応じて自分のステータスを一般人レベルまで下げられて……というものがあと十個ほど。
チート、卑怯、反則とそういう言葉しか浮かんでこない。
そんなこんなからくる頭痛も無視して次の紙を見る。
《有能な部下》
これはどういうことだろうか、タイトルだけではわからないので説明を読んでみる。
『元人間の少女を君の補佐に付ける』とだけ書かれていた。
この説明を五回ほど見直した、そして小躍りした。
少女、つまり女の子だ。喜ばない奴は公園にいるいい男に同類くらいだろう。
ひとまず心を落ち着かせてから続きを見る。そこには『能力値』とあった。
筋力:45
魔録:70
体力:20
素早さ:20
俺の凶悪なステータスに比べると相当おとなしいステータスが並んでいた。
少し意外だ、俺の補佐としてこのステータスで大丈夫なのだろうか。
何しろ相手は魔族、弱肉強食の世界の可能性もある。
そんな世界で中堅の二倍ちょっとというのはいささか不安になる。
ただまぁ……神の意向としてはなれない世界でのメンタルケアとかがメインなのではないかな、と考える。あとはあ案内人的な。
それとどうやら能力はひとつだけあるらしい、種族には天使とある。ちなみに俺の種族は魔王だった、さっきの紙の最後に書いてあった。
話がそれたので戻す、この補佐の娘の能力は『劣化魔王』。全く意味がわからないので効果を見る。
そこにはこうあった、魔王の有する能力の中でその世界の理に反していない物のみを限定条件下で使用することができる、なおその効力は魔王の半分から十分の一程度。
チートが相当抑えられた感じだがこれならさっきの弱肉強食の話も問題なさそだ。
なお限定条件下というのは俺の承認が必要らしい……承認か、クロムウェ……やめておこう、そのネタは自分が戦う時だけにしよう。
そしてついに最後の髪にたどり着いた、そこには《注意事項》とあった。
そこに書かれていたのは以下の通りだった。
文字、言語は自動翻訳される。自分で書いた文字も相手にはこの世界の文字として認識される。
魔族を見分ける方法は二通りで、見た目と魔力量。後者はある特殊な宝石がないとできない。
そのため見た目が人間のそれと変わらない俺は服装に気をつけて魔力を常に抑えておけば絶対にバレないわけだ。
その世界に害を与えようとした場合俺は動きを封じられる。
例えばこの惑星を破壊しようとする、魔族を滅ぼそうとするなどなどがそれにあたる。
どうしても調達できないものがある場合は髪に頼めばある程度は用意される。
等々の注意書きがされていた。
神様からの手紙は以上だった、そして異常だった。