理不尽です神様
「詳しく説明を……やっぱいいや、嫌な予感しかしない」
「じゃあ手短に、君は世の中のつまらなさと自分の才能のなさに落胆して自殺しました。ちゃんちゃん」
そこじゃねえよ、なんで俺がこんなとこに来なきゃいけないのか詳しく説明しろってんだ。
というか人の死を軽くまとめすぎだろ……あぁそうか、神様からしたら人の命は軽いか。
「君をこの世界に読んだ理由はバランスをとって欲しいって書いたはずなんだけどな……」
実のところこのバランスという部分がよくわからない、つまりどうしろというのだろうか。
「まぁ要するにシーソーとか天秤と思ってくれればいいよ」
もっとわからなくなった。二つの共通点といえば両端にモノを載せるくらいしかないはずだが。
「説明するとちょっと長くなるけど、最近この世界で天変地異が相次いでね、その原因が魔族と考えた人間は魔族を殲滅しようと考えたんだ
でも実際の理由は、魔力とか、人口とか、生物数のバランスが崩れたことなんだ」
それで天秤というわけか。なんとなく納得……できません。
俺に白羽の矢が立った理由は一万歩譲ってよしとしよう。ファンタジー好きだし。
でもバランスって……
「そのバランスの取り方は任せるよ、人間を間引いてもいい、逆にハーレムで魔族産めや増やせやでも構わない、その両方でも構わないし、他の方法でも構わないよ」
えらく自由なミッションだ、どうしよう超断りたい。
間引くって殺すってことじゃん、産めや増やせやハーレムって切実じゃないじゃん、他の方法とか思いつくわけないじゃん。
「断ってもいいけど君の黒歴史が全世界に公開されることになるよ」
「よろこんで、是非とも、あなた様が嫌だと言ってもやらせてください」
黒歴史は卑怯だと思う、恥ずかしい思いでの暴露とかもう……何年後だかを待たずに自殺しちゃうよ俺。
「まぁ強制だけど、その代わりやり遂げたら特典はいっぱいあるよ」
「特典?」
「特典、まずやり遂げるまで君は不老不死、それにチート能力いっぱい
つまり、強くてニューゲーム」
それはそちらのご都合じゃないですか……なにしろ俺が死んだら代わりの人員補充しなきゃならんしその手間を考えるよりはいいよな。神様結構めんどくさがりだろうし。
「それから来世と天国と地獄
いくら殺そうが、残虐非道を尽くそうが君は天国行き確定」
むしろこれで地獄行き確定されたら泣くぞ。
「来世は君の好きな世界で君の好きなように生活できます」
……ほほう、つまりやり終えたらあらゆる意味で自由ということか。
「その《好きな世界》の程度は?」
「本当に自由、君が考えた世界でも構わないし既存の世界でも構わない
好きなように生活っていうのはそっちも自由、もうチートだろうが不死の王だろうがね」
そ れ は素晴らしいな。もうやりたい放題じゃねえか。
つまり余生をチートで過ごして、来世もチートか。最高だね、ファンタジー好きの精神が疼く。
「とりあえず詳しくはそこにいる男と、手紙の残りを参照してね」
それだけ言うと神様とやらは光の粒子となって消えてしまった。
俺……聞きたいことあまり聞けてない……どうしたもんかね。